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□おさげ髪を解くとき
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『団長様っ!どこに行ってらっしゃったのですか!?』


「あー、ごめんごめん」


眉をちょっと吊り上げて睨んでる彼女。

彼女は第七師団でも下っ端のほうで、戦闘任務をする俺ら第七師団の雑用といった感じだ。


『団長様がいなくなられたと阿伏兎様が必死に探しておられましたよ?』


「あんな奴どうでもいいじゃん」


全く、とか言いながら溜め息をついた彼女。


「雑用っ、ちょ来てくれ!」

『?は、はいっ!』

すると俺と彼女の二人きりの時間を邪魔する馬鹿が現れた。
あとで殺しちゃおっかな。
彼女のことを雑用だなんて呼ぶなよ。


『それでは失礼致します』

お辞儀をすると彼女はすぐさま行ってしまった。


ほんっとにイラつく。


彼女の真珠のような白い肌をやたらに触るなよ、汚れたらどうするのさ。

ちょ、マジで殺しちゃおっかな。


「団長いたいた!」

あ、阿伏兎だ。

うぜー、来るなよ。

「団長!午前中の任務サボっただろ!」

「あー、うるさいうるさい」

口煩い部下を撒くために走って自室に戻る。

全く、阿伏兎も今度殺しちゃおっかな。

でも世渡りが上手な部下は必要だからなあなどとベットに腰掛けながら珍しく考え事をしていた。






『団長様、失礼致します』

「ああ、やっときた」

夜10時、俺はこの時間が一番好きだったりする。

「いつもの頼むヨ」

そう、"いつもの"を彼女がやってくれるからだ。

彼女は木でできたブラシを握ると、俺のおさげ髪をゆっくり丁寧に解き始める。

ブラシを使ってすいてゆく彼女の表情は、長い睫が平伏され、なんとも言い難いほどの美しさだった。


おさげ髪を解くとき

(彼女を独占できる、)(甘い甘い時間)









*神威夢企画様に提出
ちか

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