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□オレンジに染まる
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「お嬢さまー?朝ですヨー」


朝6時。
起床時間を迎え、お嬢さまの部屋の豪華なドアをノックする。


こんこん


「・・・・・お嬢さまー?」


こんこん


「・・・・・お嬢さまー??」


・・・あり?
いつもなら
「うるさいわね!もう起きているわ!」
とかなんとか言ってくるのに。


「勝手に入りますよー?」


ドアノブを捻ると、かちゃり。と音を立ててドアが開いた。

あの用心深いお嬢さまはなんと鍵をかけ忘れていた。
・・・めずらしい。


部屋に入ると誰もいない広い部屋から小さい寝息が聞こえた。

朝の太陽の光を受けて白いカーテンが眩しい。

カーテンをシャーっと勢いよくひきベッドを覗くと、



「・・・・・めずらしい」



熟睡していた。


完璧主義で弱みを見せないあの頑固わがままお嬢さまが・・・、寝ている。


・・・っは!
めずらしすぎて起こすの忘れてた。


「お嬢さま!朝です・・・・・」


腰まで伸びる綺麗な栗色の髪。
長く繊細な睫。
形の良い唇。

・・・起こすのはちょっと(いや、かなり)勿体無い気がする。


そっと顔を近づけ軽いキスをした。
感触とか、甘い味に洗脳される。

今度は深く、深く味わうように口付けてみる。
「んっ、」と苦しそうに顔を歪めた。(あ、起きるかな?)


『んぅ・・・、ん?』



普段のお嬢さまからは考えられないほど間抜けな声を出して瞼を上げた。

ちゅっとリップ音を残して唇を離す。





「おはよーございます。目覚めのちゅーはどーでしたか?」











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