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□拍手お礼文
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※幸村がヘたれです。許せる方のみご観覧ください。




事は数時間前に遡る。

「お願い!私の代わりに図書委員やってきて!」

「・・・えー、なんで?」

「今日、彼氏と待ち合わせしてんの!放課後デートすんのっ!」

「はぁ?ほーかごでーと?」

「そうそう!ね、お願いお願いおねがーい!!!」

なんとも理不尽で勝手な頼み事だ。
正直ふざけんなと跳ね返してやりたかったが、確か彼女は最近忙しかったはずだ。
それを思うと断るに断れなかった。
嫌々ながらに承諾したら、彼女は飛んで帰っていった。





「・・・・・・・。」

「・・・・・・・。」



そして現在に至り、断ればよかったと死ぬほど後悔した。
何故かと言われれば、何故か同じクラスの幸村が図書委員をしていたからだ。


紹介しよう。
彼は幸村精市といい、我が立海大附属中学校で一番(女子から)人気がある男だ。
彼は数ヶ月前まで病を患い、入院していた。
手術を受けるということでお見舞いに行きたいと言いだした他クラスの子に無理矢理引き摺られて行ったことがある。
私はそのときから彼が苦手だ。

その子曰く、彼は王子様、らしい。
私は思わず聞き返してしまったぐらいだ。
What?おーじさま?なにそれ、アンタ何歳?
その子はそんな私の言葉を無視して熱弁を続けた。

彼はもう王子様の他の何者でもない!
それは、彼そのものが王子様の要素で出来ているからだ。
まず、女子よりも美しいウェーブのかかった蒼髪。
通り過ぎた後もほのかに鼻を掠める爽やかな香り。
そして何もかもを見透かす宝石のような黒い瞳。
整った顔は歯をしまって女性のように綺麗に笑う。
そしてテニスをしているにも関わらず白い肌。
細身に見えて意外に筋肉質な身体。
その容姿はどの世界の女をも虜にしてしまうのだ。
それだけではない。
彼の完璧な内面がより一層彼を輝かせているのだ。
誰に対しても分け隔てのない優しい性格。
しかしきめるときはきめる男らしさ。
その圧倒的な存在感により誰をも引っ張っていく力。
勉学もでき、それに加えて彼は「王者立海」と呼ばれる我が校のテニス部部長。
最早アイドルのようなその存在を率いるトップ。
真田弦一郎、柳蓮二、そして我らが幸村精市の三人をまとめて人は「三強」と呼ぶ。
その美しい微笑みには似ても似つかない情熱的で圧倒的なプレイ。
全てが彼を引き立て、全てが彼を輝かせる。
その素晴らしいオーラを纏いながらも決して鼻を高くはしないその謙虚さ。
彼はまさに王子様ではないか!!






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