きねんれんさい
□1.放課後の教室で
1ページ/1ページ
キーンコーンカーンコーン・・・
下校チャイムが鳴ると、皆いっせいに家路に着く。
夕日で教室が綺麗な赤に染まる頃、
私はというと一人でポツンと教室に残り、本を開いていた。
放課後の教室ほど落ち着く場所も中々ない。すごく集中できるのだ。
「あり?もう最終下刻時間過ぎてるよ?」
本の世界に浸っていた私をその声が現実に引き戻した。
『え、あ・・・・』
顔を上げて時計を確認すると6時をさしていた。
部活の人たちもとっくに帰ってしまっている時間だ。
「君、誰?俺の担当クラスの子?」
私を現実に引き戻してくれた声の主を確認すると、桃色の髪がゆるくみつあみになっている男の人がドアにもたれかかっていた。
『えっと・・・体育担当の神威先生・・・ですよね?』
「ウン」
『・・・私の体育担当は松平先生なので知らなくて当然だと思います』
そう言いながら本を鞄に押し込む。
神威先生はとにかくモテる。
ファンクラブがあるくらいだ。
担当でもないため、喋ったことがない。
「へえ、とっつァんの担当の子か〜、
3Zなの?」
『はあ・・・まあ・・』
「じゃあ神楽と同じクラスか〜」
『あ、神楽ちゃんのお兄さんなんですよね?聞いたことあります』
美男美女姉妹だなあ、なんて思ってふふっと笑う。
『・・・じゃあ、そろそろ帰りますんで』
「そう?じゃあ気をつけてネ」
そう言って手をひらひらさせながら教室を出て行く神威先生。
放課後の教室で
(はじめてしゃべった、)
.