俺のお嬢さま!

□俺のバイト先
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じりじりと太陽が俺の肌を焼くように輝く。
俺は生まれつき肌が弱いから日焼け止めと日傘が必需品だ。

ああ、苛つく。

なんで男の俺がこんな女みたいなもの持ち歩かなきゃいけないんだ。
まあ今さら文句を言おうと遅い。もうこの体で18年生きてきたのだ。

苛立ちが止まらず、思わずごみ箱を思いきり蹴っ飛ばしてやりたくなったが、無意味に暴れたところでただの馬鹿だと思われるのがオチだ、やめておこう。

俺は足早に近くの本屋に入った。
店内はちゃんとエアコンがきいており、外が嘘のように涼しかった。思わず本に頬擦りしたくなったが馬鹿だと思われるのがオチだ、やめておこう。

俺は立ち読みしてる邪魔くさい客を掻き分けてバイト情報誌を手にとった。

そう、俺はバイトを探すためにこんな日差しの中、家を這い出てきたのだ。


今現在、学校は夏期休暇、というやつだ。すると俺には強制的に一ヶ月以上の暇ができる。ただ家でぐーたらしててもつまらないため少しでも金に替えよう、という魂胆だ。


(…うーん、いいバイトないな〜……。)


適当にページを捲ってみるが、どれもつまらなそうなバイトばかりだ。こんなありきたりのものではなくもっと突拍子もないバイトはないものか。


「はあ、なんかいいバイトないかなあー…。」



「きみ、バイト探してるのかい?」



驚いた。


ぼそりと呟いた独り言に、誰かが食い付いてきたのだ。

「ウン、まあね」

声の主を確認すべく横を見ると、黒いカッチリしたタキシードを着込んだオッサンだった。
こんな真夏にそんな長袖、暑くないのだろうか。

しかしオッサンは汗一つかかずに涼しい顔で質問を投げ掛けてきた。

「きみ、いくつ?」

「18」

「高校生?今は夏休み中かな?」

「・・・ウン」

どんどん質問してくるオッサンはかるく気味が悪い。
なんだろうかこいつ。
男をつける・・・ストーカー?

いやいや、それただの変態だろ。
オッサン相手に殴りたくもないしなあ(というか変態に触りたくない)。

バイト情報誌を棚に戻し、そそくさと帰ろうとしたとき肩をガッチリ掴まれた。


「きみ、僕の家でバイトしない?」

「しない」

ちょ、肩から手離してくんないかな。
なんか誘ってきたし。
このまじでオッサン危ないよ!!




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