あたしの団長サマ!
□あたしの来客9
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ぼたぼたと止まることなくあたしの右腕から血が流れる。
・・・やばいぞ。
いくら夜兎とはいえ、利き腕を失くしたらやばい。
ただでさえやばい相手なのに・・・!
「さあおいで"名無し兵器"。」
『・・・っせーな!』
「きみはもう少し頭が良いのだと思っていたよ。まさかたった一人で私を殺そうと考えていたなんてね。実力差はわかっていただろうに。」
『・・・・・っ、』
「私はどうやら勘違いをしていたらしい。今のきみには虐殺すら不可能だろう。」
『・・・っう・・・・、』
「ならこのまま殺すのが得策だろうね。」
『・・・・・くそっ・・・!』
じっと隊長を睨んでいると、遠くのほうから音がした。
土で乾ききった塔の床をきゅっきゅ、と音をたてて歩けるのは・・・。
ニヤリと笑顔を見せると、隊長は眉を寄せた。
「・・・なにを笑っているんだい?」
『ねぇ、あたしさ、一度も一人なんて言ってないんだけど。』
そういうとますます不機嫌そうな顔になる。
「・・・言ってる意味が理解できない。」
『・・・だーかーらァァァァ!!!!!!』
ドカァァン!!!
凄まじい破壊音と共に砂埃がたちこめる。
宮殿のように綺麗な塔の廊下が一瞬にして瓦礫の山になった。
「・・・・・あ、あれは!!」
砂埃からかすかに見える人影。
ぴょこっと可愛らしいアンテナが揺れた。
にこりと笑って血溜まりを踏みにじって歩く兎が一匹。
「一人じゃないヨ。」
我が宇宙海賊春雨第七師団団長殿、見参。
続く