short
□6月1日(火)
1ページ/1ページ
6月1日。
今日はいつもより一生懸命頑張って雑用をする。
そのせいか通りかかる団員さんがいつもより話しかけてくれる。嬉しい。
「あんたまだそんな薄汚い格好で掃除してたんだ。」
声だけで誰かが分かる私は雑巾を放り捨ててその人にダイブする。
「あはは、そんな汚い格好で近付かないでよ。」
失敗した。床に思いきり飛び込んだため全身が痛い。
「あーあ、もっと汚くなっちゃったね。」
けらけらと愉快そうに笑う団長。
心なしか頭のてっぺんのアンテナがぴょこぴょこ揺れている、気がする。可愛いなぁ。
「ところで、いつまで掃除なんかしてるんだい?もうとっくに担当時間は過ぎてるだろう?」
そ、そりゃあ、今日が団長のお誕生日だからですよ!
今日も団長は任務に行かれると聞いて、じゃあ団長がここに帰ってきたとき廊下がぴかぴかだったら喜ぶかなって思って掃除してたんです!
「おかしい女だね。普通はプレゼントをあげたりするもんじゃないのかい?」
・・・まあ、普通はそうだろう。
でも、私はプレゼントが貰えるほどお金を所持していない。
所詮下っ端なのだ。給料なんてほんのちょこっとで、生活費すら危ういほどなのだ。
「おっと、あんたの給料じゃ何も買えないか。」
悔しい。
相変わらず綺麗な団長の笑顔。
だけど、やっぱりこういう小さな差で大きな距離を感じてしまう。
私なんかと団長はつりあわないことを実感してしまう。
「なんでそんなに暗い顔をするのさ。」
団長は至って平然とした態度で私を抱き上げた。・・・・・え、抱き上げた?
は、え、ちょ、えっえ?だんちょ?なんですかなにしてるんですか!?
「別に廊下なんて綺麗だろうと汚かろうとたいして気にしないよ。だから、あんたからのプレゼントはお返しするよ。」
や・・・やっぱり、そうですよね。
いきなり廊下素敵デショ!プレゼントデスヨ!なんて言われても嬉しくもなんともないですよね。
ああ、またご迷惑をおかけしてしまって。
私はなにしても空回りだなぁ。
「こんなプレゼントは要らないから、あんたを頂戴。」
・・・・・・・・・・・・え?
・・・わ、たし?
あ、団長なにして、あ、わわわわ!ちょっと、団長!おか、おおおっおかおっお顔が近いですううううう!ん!?え、んむぅ!?
6月1日(火)
今日は、団長のお誕生日でした。
一生懸命お祝いしようと思ってたのに、なんやかんやで私のほうが幸せな気持ちになっちゃってた気が・・・。
団長、私は大好きなんかじゃありませんっ!愛してます!
かむお兄様お誕生日おめでとうございます!これからもずっとずっと大好きだぁぁ!
素敵な企画に参加させていただきありがとうございました!
Charlotte/ちか