他ジャンル

□キミの生まれた日に感謝を
1ページ/4ページ



「どうしようかしら・・・」


悠里は部屋の中を行ったり来たりしながら唸っていた。


『オマエが好きなンだよ、愛してンだよ』

『オマエが恥ずかしくて泣く程でも・・・。愛してるってずっと言ってやるぜェ』

『さァ、言えよ?オマエもオレ様が好きだろ?』


卒業式の日に彼に告白されて、付き合い始めて。

初めての彼の誕生日。

ここは、おもいっきり驚かせて彼の喜ぶ顔が見たい。

そう考えた悠里はそのために何をしようかと頭を悩ませていた。

「誕生日っていったら、やっぱりケーキとプレゼントよね・・・。よし!ケーキは手作りで作るとして・・・」

そこまで言ってまたう〜ん、と考え込む。

(でも、なぜかはわからないけど、私が手作りするって言ったらみんな慌てだすのよね・・・)

今までにもバレンタインのときにB6にチョコを作ったりしていたけれど、あまりみんなの反応はいいものではなくて。

「確かに見た目はちょっとアレだけど、味はおいしいんだから!!」

グッと握りこぶしを作り叫ぶ。

「今度こそおいしいって言わせてみせるわ!!そのためにも、少し練習が必要よね。さっそく今から・・・」



〜〜〜♪

気合十分にキッチンに向かおうとしているところに携帯の着信音。

誰からかと携帯に目をやると、ディスプレイには『仙道清春』の文字。

(どうしたのかな?)

「清春君?どうかした?」

「大学の方が今日は午前だけだったからなァ、オマエも今日は家に居ンだろォ?今からそっちに行ってやろうと思ってなァ!クククッ」

(こ、困るわっ!!)

清春の誕生日までもう日もない。悠里だっていつも家にいられるわけではないから、時間に余裕のある時にケーキ作りの練習をしておきたくて。

「ご、ごめんなさい。急に予定が入って、今は家にいないのよ」

「・・・・・・・」

(清春君?)

断りをいれると、急に無言になる清春に少し罪悪感を覚えたけれど、これも彼の誕生日に喜んでもらうためだと自分に言い聞かせる。

「フーン?ま、そういうことなら仕方ねェ、今日のところは勘弁してやるゼ!!」


次へ  

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ