オリジナル小説

□この世界で君に逢えた奇跡
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プロローグ

それは突然だった。
大爆発。
一瞬で辺りは火の海と化した。
瓦礫の中に蠢く人。
鼻を刺す異臭が漂い、悲鳴や叫び声が響いていた。
さっきまで一緒に居た両親も、瓦礫の下敷きになっていた。
その瓦礫からは、真っ赤な、辺りに燃え盛る炎よりも真っ赤な、血が流れていた。
そして、自分の視界も真っ赤に染まっていた。
目を拭ったその手に、真っ赤に付着した血。
そこでようやく、頭から流血している事に気付いた。
途端に景色が歪んでいく。
目の前が真っ暗になっていく。
そんな視界の先に見付けた、小さな女の子。
瓦礫の下敷きになっていると思われるその女の子は、意識をはっきりさせて叫んでいた。
その声が何を言っているのか、もう分からないぐらいまで意識が朦朧としていた。
多分、はっきりと自覚したのだろう。
ああ、俺はここで死ぬんだな、と。
だから余計に、死ぬ前に、何でも良いから誰かの為に、この命の灯火を燃やしたかった。
気付けばその少女を瓦礫の下から引きずり出していた。
そこから先は、線が切れた様に映像に残っていなかった―――
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