オリジナル小説

□この世界で君に逢えた奇跡
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次に映像が繋がったのは、自宅の天井だった。
いつもと変わらない布団の温もり、見慣れた景色。
ただ、寝ぼけているのか、目が霞む様にぼやけていた。
起き上がり、時計に目をやる。
とっくに登校時間は過ぎていた。
起こしてくれなった母親に文句を言おうと、階下へ降りた。
そこで、現実を突きつけられて愕然とした。
誰も…居なかった。
何気無く付けたテレビに速報が流れている。
どのチャンネルも、速報として、ある大惨事を伝えていた。
その映像には、とても嫌な覚えがあった。
先ほどの夢の中の景色。
全く同じ、場所、時間。
そのニュース速報に全神経を注いでいた。
「本日未明、神坂駅前で大規模な爆発がありました。原因は不明、死傷者等の情報は未だ入っておりませんが、多くの犠牲者が見込まれております。あっ!政府の会見が始まりました!」
何だ、これ…?
「え〜只今我が国の自衛隊が総動員で救出活動を行っております。原因ですが、未だに特定出来ず、更なる言及は避けさせて頂きます。尚、犠牲者は検討も付かない程に及ぶものと思われ、未だに生存者の確認は取れていません。」
犠牲者…生存者…?
「政府の会見でした。しかし、ひどい状況は依然続いております。これだけ大規模な爆発ですから、生存者の確認も困難を極めている様です。またこの大惨事に動きがありましたらお伝えします。」
大惨事…爆発…?
暫く、そのテレビをぼんやりと眺めていた。
時刻は夕刻を差し示しているのに、両親が自宅に戻ってくる事は無かった。
何より、政府の会見の時に、はっきりと気付いていた。
本来であれば、あの会見で話しているはずの人間は、自分の両親であると―――
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