永遠の花〈運命後長編〉

□永遠の花
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まだ幼い自分を…

そして光を…

夢に見る…




2度目の戦争が終わりを告げ3年がたった。ナチュラルとコーディネーター、両者が手を取り合い歩んでいくにはまだ遠い世界…

夢を見ていた…遠い過去の夢…
幼い頃、孤児院のシスターに連れられある公園に行った。
それが何処だったのか…幼い自分の記憶では定かではないが親に捨てられた事によるのか感情が欠落しているのかと言われていた自分に光を与えてくれた…
かけがえのない出会いがあった…
「なにしてるんだ?こんなにいいてんきなのに、あそばないのか?」

一緒に来ていた孤児院の子供達と遊ぶ事もなく木陰に座りただ眺めていた自分に声をかけてきた少女。
「…」
「なにをみてるんだ?」
「…」
「あのこたちともだちなのか?」
「…」
「わたしといっしょにあそばないか?」「…」
何も答えない自分に痺れをきらしたのか少女は周りで遊ぶ子供達にかけよっていった。
それをただ眺めていた自分にまたかけよって来る。
「おまえもこいよ!あのこたちと鬼ごっこするんだ!」
強引に少女に連れて行かれ輪の中に引き摺りこまれた。
外界を拒絶し人の温もりに久しく触れていなかった自分に触れた手は温かく心地良かった。
太陽の光を浴びる少女は金の髪をなびかせ走る。
キラキラ光る、満面の笑みを向けてくる少女を…綺麗だと思った。
キラキラと輝く少女をみつめながら涙が零れていた…
楽しそうに、何の陰りもなく笑う姿が羨ましかったのだろうか…
一緒生活していても他の子供達は自分を空気の様にまるで気にもとめない…
それに何とも思っていなかった自分が温もりを知ってしまったからなのか…
不思議な感覚だった。
「おまえなんでないてるんだ?どこかいたいのか?」
「…」
また何も答えない自分を覗きこみじっと見つめてくる。
そしてまた温もりを感じた。
「わたしがなくと、おとうさまがこうしてくれるんだ!そしたらなみだなんかとんでいくんだ!」
小さな腕で包み込み背中をポンポンとやさしくなぜてくれた。

「やっと見つけた!」
褐色の大柄な男が近づいくる。
ばつの悪そうな顔をして少女は振り向き男に手をふる。
「ごめんな?見つかっちゃった…いかなきゃ、またあそぼうな!」
そう言って自分に手をふって…
少女は消えていく…
目が覚めるといつも胸に痼が残った感覚に陥る。

あの少女に出会い少しずつだが言葉を発する様になった自分に僅かだが大切だと思える人が出来た。
だがそれも2度に渡る大戦で喪った…

醜い感情が自分を支配する。
ナチュラルが憎いのか…
コーディネーターが憎いのか…
自分を再び孤独にした世界そのものが憎いのか…
答えはまだない…もしくは全てか…

「ツバサ!起きろ!準備にかかるぞ!」

世界はまた混沌の闇に包まれる…

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