永遠の花〈運命後長編〉

□永遠の花 8
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嬉しかった。
険しい瞳で見据えられようとも。

彼女の声で、アスランと…名前を呼ばれた事が。

「…説明しろ、なぜ黙っていた!」


「カガリを守りたいから、ただそれだけだ。」

戦争が終わってから初めてアスランとして、カガリとして話をする。


「…護衛はお前でなくてもいいはずだ。」

「そうだな…でも話は聞いたんだろ?
なら今回に関しては俺が適任だと思わないか?」

「…っ、でもっ!」
駄目なんだ…それじゃ私がアスランを守れない。

「…カガリ…俺にも譲れない物があるんだ。例え君に何と言われても、カガリだけは譲れない。」


ああ、私は馬鹿だ…
名前なんて呼ぶんじゃなかった。
はぐらかされても…何も言って貰えなくても。
呼ぶんじゃなかった…

アスランに呼ばれる自分の名前が…
こんなに愛しいなんて…

思い出したくなかった。
こんな気持ちを…



「…あんたはっ、自分が幸せになったら、償うって…今度こそ守るって言った事を忘れるのか?」

「…シン?」

「俺はっ…今はあんたに不幸になって欲しいわけじゃないっ!
ただ…忘れて欲しくないだけだ!
あんたが失う痛みを知ってるって、今はわかるからっ!
別にいいだろ!
これ以上大事な物を捨てなくても!」

「シン…私は…駄目だ。そんな事…駄目だ…」

「あんたはただ怖いだけだっ!
また失うのが怖くて逃げてるだけだっ!」

「…っ!」

何も言い返せない…
そうだ…だってわかってたんだ…
怖くて…怖くて怖くて…見ない様にしてたんだ。



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