短編

□永遠の花《開花前》
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翌日、アスハ邸に行くとマーナさんが出迎えてくれた。

「まぁ、キラ様!いらっしゃいませ!
先程お嬢様から連絡がありまして後10分程でお戻りになられるそうです。
お部屋でお待ち下さいとの事でしたからお上がり下さい」

「ありがとうございます。」

マーナに案内されてカガリの部屋に入る。
ベッドサイドにラクスとアスラン4人で写った写真が置いてあった。
大戦前にマルキオ様の所で撮った写真。
あどけない表情で笑うカガリの顔を見て苦しくなる。

この頃には既にユウナ・ロマ・セイランとの婚約も決まっており、カガリへの圧力も色々あったはずだ。

でもカガリは僕には何も言わなかった。
それに甘えて自分から動く事をしなかった。

そして今も、カガリは僕に何も言わない。

今度こそ僕に出来ることはしようと決めた。
だからラクスとプラントに上がる事を決めた。
カガリにも後悔はして欲しくない。


写真を眺めて想いを巡らせているとカガリが帰ってきた。

「キラ!すまない、待たせたな。」

「大丈夫だよ。」

そう言ってカガリの髪を撫でた。

「キラ?」

「うん、今までだったらカガリが飛び付いてきた所でしょ?それがないと淋しいよ。」

苦笑しながらカガリが答えた。

「私だっていつまでも子供じゃないんだからな!一国の代表がそんな事してちゃマズイだろ?」

「でもここには僕とカガリしかいない」

カガリの腕をひっぱって腕の中に閉じ込めた。

「よしよし…」

そう言って背中を子供をあやす様にポンポンとたたく。

「キ、キラ?」

腕の中でもぞもぞと動くカガリに言い聞かせる様に囁く。

「よく頑張ったね…泣いてもいいんだよ?カガリ…一人で泣かないで…」

少し腕を緩めてやると大きく見開いた瞳で見上げてくる。

「アスラン…オーブに残るんだって。
君の側から離れたくないんだって…涙目になって言ってたよ?」

それを聞くと金の瞳が潤み唇を噛み締める。
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