「ったくよー、この宿結構ボロいくせに高いよなぁ?」
「ロ、ロイド……っ」
「何だよコレット。本当の事だろ?」



旅の途中で立ち寄った街、決して綺麗とは言えないが体を休めるためにと一晩泊まると決めた宿を眺めながらロイドが口を開いた。宿主に対して、馬鹿正直に。



「主人、気分を悪くさせてしまったのなら済まない。まだ未熟な子供なのでな、勘弁してやって欲しい」

「いいですよ、彼の言うとおり本当にボロボロなんですから……」



ションボリとカウンター内でうなだれる宿の主人を横目で見、みんなで男女それぞれの部屋にむかったのだが……ベッドの上には何故かピシリと綺麗に整ったシャツが置かれていた。その上にメモが一つ。



『就寝前にこれに着替える事』



うさぎやねこ模様のシャツを可愛いと喜ぶコレット。だが、それとは反対にダセェとうなだれるロイドがいた。



「僕はこれでいいや」
「ふむ、では私はこれに」
「ちょ、着るのかよ!?」
「郷に入っては郷に従え。この宿にルールがあるなら従うまでだ」



クラトスの言葉にうなだれながら、ロイドは余っていたうさちゃんのシャツに袖を通した。そんなロイドを見ながら、ジーニアスはねこさん柄のシャツ、クラトスはくまさん柄のシャツに着替えるのだった。



「ふむ、意外と悪くないな」
「そうだね!軽くていいよこれ」
「お前ら、よく平気だなー…」

「パジャマ、と言う就寝前に着用する衣装があると聞いた事がある」

「へえ、パジャマって言うのかぁ……クラトスって物知りなんだね」





穏やかに話し合っている二人を横目に、ロイドはベッドに潜って掛布にくるまりふて寝してしまったのだった。





 


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