蔵馬/原作沿い





幸運な少女のことを、 
「まるで神に愛されているようだ」という意味で、 
“神の愛娘(まなむすめ)”と呼ぶ。 
 
今ここに、千年の時を越え、 
転生した唯一無二の存在がいる。 
妖艶な気で妖怪を魅了し、 
寄せ付けてしまう特異体質。
 
その稀なる魂の持ち主は、 
幾度生まれ変わっても、 
“妖(あやかし)の愛娘(まなむすめ)”と呼ばれた──。 








 本 編【─千年の約束─】

 番外編【─久遠の欠片─】
 


  の香薫る水の瀬で、
  月が静かに語りまする。

  暁待てぬこの想い、
  宵の空にうらうらと。

  炎の追憶、
  夢幻の淵より目醒めし傷痕、
  緋い花の雨のしずく達、

  産声よりもいざ早く、
  貴方に出会った悪戯よ。

  恋しや遙か、辿りだす。

  舞う空に浮かぶ雲、
  夢馳せるはその彼方。

  美装なその身、
  月に喰らわせ、末は風に追わせるか。

  妖の愛娘、その娘。
  汝の名を呼ぶを聴け。




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