Dream
□過去拍手 雲雀
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私の代名詞。不器用、女男、ドジ。
男子とはよく喧嘩もするし、それで勝っちゃったりもするけど…
でも、私だって一応女。
恋する乙女なの。
(えっと…もしよかったら、食べて下さい…)
並中、放課後、オレンジ色に染まってる(のかな?)教室…じゃなくて応接室、のドアの前。
(初めて作ったんで、お口に合わないかも、しれないんですけど)
初めて見たときから、ずっと気になってた。綺麗な黒髪、鋭い目、凛としてる背筋。友達には恋してるなんて言ってない。と言うかいえない。
(…受け取ってく…れたら、嬉しい…です。…よし)
全部初めてだった。
チョコを作るのも恋をしたのも。
…こんなにドキドキしてるのも。
「…あの、失礼してもいいですか?」
ドアをノックして挨拶。
声、すごい震えてる。
「何?」
「し、失礼します!」
ドアを開けて中に入る。
デスクで仕事をしてる雲雀さん。
パチッと目が合い、顔に熱が集まる。
「あの、これ…初めて作ったんですけど、」
震える手でチョコを差し出す。
「ふーん…そう」
「えっと…私……好、しゅきですっ!」
…何?私、今、何言った?
…こ、くはくしちゃった?…その上噛んだ?
「…ふっ」
やだ、雲雀さんすごい肩震えてるし。
たぶん、頭のてっぺんから爪先まで真っ赤。
「失礼、しましたぁ!」
急いで応接室の外に出る。
「何やってんだよぉ…」
ドキドキ、失敗した初めてのバレンタイン。
バレンタイン
(あ、名前言うの忘れた…!)
(あの子、どこのクラスなんだろ)