Dream

□反感?そんなの気にしない!
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席替えってのは一大イベントだ。いつもは大人しめの人も、数日前から天に祈ってる人も、みんなそわそわしてる。もちろんツナもだし、あの獄寺でさえも。
俺もその一人、だ。
何でかって言ったら、それはもちろん決まってる。


「じゃあ、端からくじ引いていけー」



くじ運…は、あると思う。フィーリングって言うのか?何か直感的にこれだっ!って思ったのを引く。
番号は7番。…悪くないのな。
全員がくじを引いてから先生が番号が書かれた座席表を黒板に貼る。



「うっわ…」



どセンター、果てしなくセンター。
見事に教卓の真ん前。隣はもちろん、あの子じゃなかった。机と椅子を移動させて初めて誰がどこにいるか分かった。
あの子は一番後ろの席。しかも隣が…獄寺だ。



「(ついてないのな…)」



俺のように肩を落とす男子が続出。



「あの、」



一番遠い席からでもはっきりと聞こえた、明るくて少し高めの声。



「目が悪くなってきたので…席、変えてもらってもいいですか?」



「そうか…じゃあ、北野。変わってやれ」



前に来るイコール席が近くなる。顔には出さないけど、心の中でガッツポーズ。チラッと後ろを向くと呆然としてる獄寺。(もちろんこの後すぐに教室を出て行った)

とここで、隣の子が席を立ち机を運び始めてるのは、何でだろう。心なしか顔色が悪い気がするのは…気のせいってことにしとこう。



「(って………北野?北野って、え、北野?…)」



俺の隣の席の、北野。
いや、隣の席のはずだった北野。
席が近くなるイコール隣の席、なんてそんなことがあるはずがない。(たぶんきっと。)嬉しさよりも驚きが先に来て、若干パニックになる。

ガタッと机を並べたのは、まぶしい笑顔を浮かべた、



「名無しさん…」



「ごめんね、最近本当に目が悪くて……。これからよろしく!」



「ああ、こちらこそ!」



背中に刺さる男子たちの目線。今の俺に、そんなものは一つも通用しない。



教科書の問題の答えを教えてもらったり、教科書を見さしてあげたり見させてもらったり。授業中小さい声で話したり、ウトウトしてる名無しさんを見たり。真剣な顔も、嬉しそうな顔も、困った顔も、悲しげな顔も。





全部、全部。俺だけの特権。





反感?そんなの気にしない!

(……)(まあ、元気出せって!)(…てめぇ)(獄寺くん!…俺も加勢するよ)(…ちょ、ちょっと待てって!)


(どうしよう、山本くんの隣だ…)

(俺、すごいドキドキしてる)


 

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