Dream

□首ったけ
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「静雄!」



「おお、名無しさん」



池袋はサンシャイン通り。少し暗くなってきたが、長身のバーテンダーの格好をした男を見つけるのは容易だった。



「トムさんも、久しぶりです」



久しぶり、そう笑って答えてくれたトムさん。聞けば、今日の仕事はおわりだそうだ。



「じゃあ、2人とも暇…と言うことで」



「まあ、暇って言ったら暇だな」



「じゃあ、パフェ食べに行きません?」



私は、静雄のサングラスの奥の目がキラリと光ったのを見逃さなかった。



♂♀



「ん〜!美味しい!」



「…」



店の隅の私の向かいの席、無言でパフェを食べ進める静雄。バーテン服の男が大きいパフェに首ったけ、なかなかおもしろい絵だ。



「トムさんも来ればよかったのに」



「……」



結構しつこく誘ったのに、甘いものが好きでないトムは先に帰った。そしてやはり無言の静雄。

すると、突然ピタリと食べるのをやめ私を(と言うより私のパフェを)じっと見つめた。



「…一口食べる?」



「ああ、食べる」



なんだこいつくそ可愛いな。
まるで子犬のように目をキラキラさせて器用にパフェを食べる静雄、そして今の返答。なんだこいつくそ(以下略)

そんなことを思いながらスプーンにパフェを乗せる。



「はい、あーん」



「…は?」



と、スプーンを静雄にのばす。もちろん、怒られるのを覚悟で。(いや、実際、スプーンを向けた瞬間キレそうになってた)
だか、悩み始めた静雄。しばらくしてから身を乗り出してパクッとパフェを食べた。



「ん、美味い」



なんだこいつ(以下略)



「…私にもちょうだいよ」



なんだかこっちが恥ずかしくなってきて、静雄にねだる。
しかし静雄は無言でパフェを食べる。…だんまりだ。そんなにパフェを独り占めしたいのか。

いいしべつに、そうは思ったものの…悲しい。自分のを食べようとまたスプーンでパフェをすくおうとしたら、突然、静雄が腰を上げて私の方に乗り出してきた。



「どうした…んっ…」



重ねられた静雄の口から私の口に注ぎ込まれる溶けたアイスクリームと生クリームの甘さ。
少し苦しくなってきて、静雄の肩を軽くたたくとリップ音がして唇が離れた。



「甘い…けど」



ほかの客からは死角になってる、と思うけど、そうであってほしいけど…。

自然と顔に集まる熱。



「仕返しだ、ばーか」



そう言った静雄の顔も真っ赤で。



ああ、
もう本当に、
私は、



「大好き」



と、さらに赤くなる静雄の顔。


バカップルと言われてもいい。だって私はあなたに、







首ったけ




(…俺も、だ…大…好、って何言わせてんだ名無しさん!!)
(落ち着いて落ち着いて!ほら、あーん)
(ん、)
((あ、食べるのね…))

 

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