Dream

□nearby
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幼なじみって近いようで遠い存在。
私はそう思う。



「また、告白されたの?」



日が傾いてきた、冬のグラウンド。いつものように並んで歩くのは、幼なじみの私たちにとっては当たり前の光景で。

こんな会話もしょっちゅうで。



「相変わらずの情報屋なのな…」



「花から聞いただけだよ」



この野球バカが告白された、なんて日常茶飯事の話。
でも武は絶対に私にこのことを言わない。何でかは分からない。別に私には関係のない話。特に聞く必要もないわけで。



「…誰?」



「え?」



「……ううん、別に」



誰、なんて聞いてどうするんだろう。
そう言えば、相手を気にしたのなんて初めてかもしれない。



「1年の、後輩」



「…うん」



「…でも、好きなやつがいるからって断った」



「そう、なんだ。…初めて聞いたよ」



好きなやつがいるからって断った。

初めて聞いた。好きな人がいるなんて。



「(ま…当たり前だよね)」



小さい頃から一緒にいた。お泊まりだってしたことはあるし、一緒に出かけるのもしょっちゅうだし。
だから、結構私は武に何でも話していた。武も私にいろんな事を話してくれた。
それでも、やっぱり知らないことはあるわけで。

今日は何だか、言葉が出てこない。



「…」



「…」



「…嬉しいのな」



「…?」



「名無しさんが俺に告白してきた子のこと聞いてくれて」



沈黙を遮ったのは武。



「別に、深い意味は」
「俺が、」




また、沈黙。
ピタリと立ち止まった武。
数歩前で立ち止まった私は後ろの武を振り返った。

いつになく真面目な表情なのに、少し笑っていて。
こんな顔、見たことなくて胸が少し大きく脈打つ。



「…俺がずっと好きなのは、名無しさんだ」



サアッと吹いていく北風。
まだ残っていた落ち葉が風に運ばれカサカサ音をたてている。



「……武のこと、そういう風に見たことない」



「だよ、な…」



クシャッと落ち葉を踏んで、また前を向いて歩き始める。
武はまだ、立ち止まったままみたいだ。



「(本当に)」



本当に、そうなのだろうか。
見なかったようにしてただけではないのか。
側にいるだけで、幼なじみなだけで、私はそれ以上の事なんて無いって決めつけていたのではないか。

本当は、武と同じように、私も…。



「…私も、」



数メートル後ろを振り返る。
先ほどの表情のまま、武はまだ動かずにいた。




「……武のこと…好きになってもいい?」




この関係は、きっとずっと続く気がする。
明日も明後日も、来年も再来年も、数十年経っても、ずっと。

とびきりの笑顔で武は、当たり前なのなっ!って抱きついてきた。



「好きだ」



「ん…たぶん、私も?」



「ハハッ!なんだそれ!」





私は、たぶん、ずっとずっとずっと、好きでいられるよね。









nearby

(いつから?)
(ん?)
(いつから……好きだった?)
(んー…と、幼稚園の時か?)
(…一途すぎでしょ…)


((本当は、嬉しかったり))



 

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