Dream
□あせていく愛
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ちょっとしたすれ違いだと思うの。
隼人はマフィア、私は主婦。
同居なんか無理なんだ。
「名無しさん、しばらく帰れねえから。あと、任務中は連絡してくんな」
「分かった…」
長期任務なんて当たり前。家に帰ってきても2、3日いるだけ。
連絡も迷惑だって分かってるけど…分かってるけど心配なんだもん。最初のころは隼人から連絡してくれることもあった。
今は、連絡してくれない。させてくれない。
いつからすれ違っちゃったのかな?
「隼人!」
扉を開けた隼人を呼び止める。
最後くらい、ちゃんと言わせてよ。
「…大好き」
「行ってくる」
バタンと扉が閉まる。
もう、帰ってくることはない。
そっと握っていた手のひらを広げる。手には隼人の婚約指輪。
(隼人は、私を愛していたのかな…?)
指輪に落ちる私の涙。
すれ違いは気づいたときにはもう遅くて。あの頃に戻ろうとするほど距離は広がるばかりで。
愛の儚さを教えられたの。
二度と会えないあなたに。
あせていく愛
(愛はいつの間にか、あせていた)
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キンポウゲ科、秋明菊(しゅうめいぎく)の花言葉。