Dream
□「どうしても!!」
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俺が思いを寄せてる先輩は、鈍感だ。ありえないくらい。たぶん、俺も相当な鈍感(らしい)だけど、それよりもっとひどい。
「名無しさん先輩」
「なーに?」
ほとんど毎日のように一緒に帰ってるのに、先輩は何も気づいてくれない。
「俺、明日野球の試合なんすよ」
「そうなの?頑張ってね」
まじりっけのない真っ白な笑顔。俺は、この笑顔が大好き大好きで。
「先輩、明日暇ですか?」
「うーん…まぁ」
「じゃあ、明日見に来てくださいよ!」
「えー…熱いしなー…」
野球してる俺はもっと熱いんです!
なんて口が開けても言えない。
「沢田くんたち行くんでしょ?」
「そういわず先輩も!」
「じゃあ京子たちも」
「…そうじゃないんです!!」
びっくりした顔をしてる名無しさん先輩。誰よりも何よりも俺は…。
「名無しさん先輩じゃなくちゃ、だめなんです」
「…私、じゃなきゃ」
名無しさん先輩が見てくれてると、強くなれる。名無しさん先輩がいるから、俺は俺らしくなれる。
だから、
どうしても!!
(先輩の代わりなんていないんです)