Dream

□Merry Christmas
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華やかなイルミネーションに、サンタの洋服を着てケーキを売っている人。

そう、今日はクリスマス。



「はぁ〜…」



クリスマス。恋人たちのクリスマス。
恋人たちの、クリスマス。
…大事なことだから2回言ったけど、何か?
今までのクリスマス、彼氏がいたことがない。と言うか彼氏は万年いないけどね。



「しっかしまぁ…」



友達は彼氏とデート。ママとパパも食事に行ってしまっていない。
虚しさと寂しさを紛らわすためにショッピングモールに来てみたけど…



「カップルだらけだね…」



手をつないでケーキ選んでるカップルもいれば大きなツリーのそばで写真を撮ってるカップルもいる。

こんなんなら家にいれば良かったかな…。



「名無しさん…?」



「あ、恭弥!」



前言撤回。
クリスマス、奇跡が起きました。



「珍しいー、恭弥がこんなにぎやかなとこ来るなんて」



幼なじみの密かに思いを寄せてる恭弥。
まさか、クリスマスに会えるなんて!



「…草壁たちにケーキを、ね」



「…え?あれ?恭弥ってそんなに優しかったっけ?」



「うるさいな。気分転換もかねてだよ」



嬉しいな。恭弥にとっては何もないことなんだろうけど、私はすごい嬉しい。



「暇なら付き合あわない?今年も1人なんでしょ?」



「おやすいご用で!」



「…ふっ」



一緒に買い物、と言っても手をつなぐなんてことはしない。
する必要なんて、ないんだから。



「いらっしゃいませ」



キラキラのショーケースの中には沢山のケーキ。綺麗に着飾った店員さん。



「美味しそー…」



サンタクロースの砂糖菓子やフルーツでデコレーションされているケーキは見ているだけでも楽しい。



「このケーキ、お願い」



恭弥が頼んだのは苺のホールケーキ。



「それとこれも」



なぜかその隣の小さなホールケーキも頼んだ恭弥。

会計を済ませてショッピングモールの出口へ向かう。



(恭弥と別れたら、また1人か…)



「じゃあね。パーティーするんでしょ?早く行かないと」



「…これ」



先ほど買った小さい方のケーキの箱を差し出す恭弥。



「…1人で食べろと?」



「あとで、行くから」



「えっ…?」



「どうせ、1人で暇なんでしょ?いやならいいけど」



「う、ううん!待ってるから!」



早々に別れをすまして家へと向かう。
自然に走り出す体。



(早く家に帰って、少し部屋片づけて、それから…)



あなたへの思いが深まった

最高のクリスマス。



Merry Christmas





(私の頬が赤いのは、寒さのせいだけじゃない)

(大好きな恭弥が、側にいてくれるって言ってくれたから)

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