Dream

□はぶびーんらびんぐ!
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鬼のような奥村先生から大量に出された宿題付きのプチ長期休暇。
勝呂くん子猫くん、廉造と久々に京都に来ることにした。
勝呂くんと子猫くんの家に顔を出し、その後、志摩家に泊まるべく廉ママに交渉したところ、二つ返事で承諾してくれた。廉パパの方もニコニコと迎えてくれた。
柔造さんと金造さんに久々に会いテンションマックス。
が、同じくテンションが上がった二人はお酒を飲み過ぎて、気づいたらいつの間にか目の前で寝ている。

結局、いつも一緒にいる廉造が、京都に来た今もこうして一緒にいるのは…まあ、代わり映えのないことのように思えてしょうがない。



「堪忍な。ほんまにしょうもな…」



「いいよいいよ!楽しいし!」



廉造はひとしきり騒いだ2人に毛布を掛け、私にも一枚渡してくれた。
ため息をつき、毛布を被って横になった廉造の隣に、毛布にくるまりながら座って話す。深夜十二時過ぎ、電気を消した部屋には月の光が少し射している。



「…やっぱり落ち着くなぁ、廉造の家」



「ほんまに自分の家、帰らんでええの?」



「あ…はは。いいの、わがまま言って飛び出してきた家だし」


絶対に祓魔師になってやる。そう告げた日から私はあの家の一員でなくなった。
今更、また受け入れてもらえるはずがない。

それに、幼なじみの家の方が我が家みたいだし、とゴロンと横になる。



「名無しさん…」



廉造の声が小さく聞こえる。



「何?」



「俺な、ずっと前から……って名無しさんさん?何してはるん?」



「ちょっ…こいつ…!」



寝相が悪い上に手癖まで悪いんですか、金造さん。



「うわっ!止め…って」



私の毛布を全力で引っ張って…自分にかけた。
強奪だ強奪。
さっきまで使ってた毛布は金造さんが自分で乗っかってしまってる。



「…ほんまに申し訳ない…」



「…金造さんと一緒に寝るのは危ないね。あ、一緒の布団で寝ればいいのか」



「…は?今なんて言うた?」



「え?…んと、金造さんと一緒に寝るのは危ないね?」



「その後や、」



「…一緒の布団で寝ればいいのか?」



「…俺かて」



と、突然私に背を向けて寝始めた。…なんや、こいつ。



「廉造?」



「……」



黙りを決め込んだようです。



「れーんぞっ」



「………」



「廉ちゃん?」



「………」



依然、黙りだ。

…明らか不機嫌な様子で。
でも、そっちがその気なら私にも考えがある。

廉造の近くにそっと行く。
未だ私に背を向けてる廉造。



「廉造」



「…!な、何しはるん!」



毛布を捲って廉造に寄り添って横になった。
見えるのは背中だけだから、一体どんな表情でいるのかはわからない。



「さっきの、冗談だって。…だって、私は、昔から廉造が好き…だもん」



「……」



「(え…反応無し…?)」



何だかすこぶる恥ずかしくなる。
というか何バカなことをしてるんだ、私。

と、耳を澄ますと、何かを呟いてる廉造。



「…お経?」



「…仏門を極めようとしてはる人の自制心、なめたらあかん」


「それは、一体どう言った意味で…」



顔をのぞき込むと、涙目でお経を唱える廉造がいた。



「そんな可愛いこと言われて、我慢なんかできる訳ないやろ…」



「…れ、んぞ」



今度は違った意味で顔に熱が集まる。
廉造が可愛いくて可愛いくて、大好きで。



「我慢しないで、いい……っ!」



無意識に出た言葉は、最後まで言わせてもらえなかった。
ぐるり、と回転した視界。目の前には廉造の顔と天井。



「俺かて、好きや。昔から…ずっと」



「そんなの分かっ、ん…」



噛みつくように塞がれた唇。
スルリと入ってきた廉造の舌が私の呼吸を妨げる。



「はっ…あ…」



「名無しさん…」



もうだめや、と漏らした彼。



「2人、起きたらどうしよっか」



「…見せつけたらええ」



もう一度、好き、と呟いたら、そんなん分かっとったわと唇をまた塞がれた。





はぶびーんらびんぐ!

(…廉造)
(…ん?)
(優しく、して…ね)
(……(そんな涙目で言われたら我慢出来るわけないやん!))




 

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