池袋物語

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東京は池袋アニメイト。
友達同士で来てる人、カップルで来てる人、はたまた1人で来てる人。
私は、カップル、で来たかった人だ。

現実は1人。

しかし1人で出かけるのが好きな私。暇な時はたいてい池袋に来ている。アニメイトに行き、ブックオフに行き、ロッテリアで買った漫画や本を呼んでサンシャインでぶらぶらするのがお決まりのコース。今日もそのコースだ。
アニメイトを最上階から見て回る。至る所に二次元、二次元。まあ、アニメイトだから当たり前なのだが。

若干狭い階段に(毎回)不満を感じながら、書籍が置いてあるフロアに行く。私はここが一番好きだ。
電撃文庫が置いてあるコーナーの前で立ち止まる。ずらっと並んでいる本の中に、私の好きな本を見つける。



「(こんだけ足繁く通ってるんだから、ゆまっちとか狩沢さんくらい会わしてよ…)」



池袋が舞台のデュラララ。
好きな本の舞台が池袋と言うことで私は池袋によく来る。もちろん、美形オタクコンビに会ったことも、音の無いバイクに乗る首なしライダーも、自動販売機が空を飛ぶのも、ロシア人が経営している寿司屋も、首に傷跡がある女の子も、全身真っ黒な服を着た情報屋も、仲のいい3人組も、一度も見たことがない。



「(せめてガスマスクの男…いや、やっぱやだ。黄巾族くらいは見れても…)」



なんて思うだけ無駄な願望を池袋に来るたびに膨らませている。
バカだな私、と自虐的にな笑みを浮かべ並んだ本を見る。新書がでているわけでもないので、さっと目を通して次のフロアに行く。



だが、今日は、お決まりのコースとちょっと違っていた。



デュラララ!!の前にデュラララ!!×0と書かれた本。
新書が出るなんて情報はどこにも出ていなかった。



「ぜ、ろ?」



その上、仮に新書だとしてもおかしい。平積みにされているのではなく、棚に並んでいる。

一冊 だけ。


手に取った本の表紙にはデュラララ!!×0の文字だけ。著者や出版社は書いて無く、裏表紙にも値段しか書いていない。



「(超怪しいんだけど…)」



と、まあ不思議に思うもやっぱり気になる。買わないという選択肢を選ぶことができず、レジへと本を持って行った。



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