池袋物語

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「(セルティさんは池袋に精通してる…………はず)」



幾度となく目に映るのは同じ様な、ではなくて、全く同じ景色。
もちろん名無しさんは、池袋でこんなにも同じ様な景色を至る所で見受けることはあり得ないことである、と重々承知している。



「(と言うか、池袋にを出るのにこんなに時間はかからない……はず)」



バイクで池袋を徘徊するのは初めてな名無しさんでさえ、思わず自分を疑ってしまうようなほど長々と池袋を駆け巡っている。いくら池袋が広いと言えど、小一時間もバイクで走ることはそうそう無いだろう。
果たしてこれは首無しライダーが故意にしてることなのか否か。



「あ…」



と、バイクが減速していき見覚えのある場所で止まった。悶々と考えていた名無しさんの目の前に、再び新羅のマンションが現れる。



『ごめん、名無しさんちゃん…あの、何て言ったらいいんだろ…落ち着いて聞いてね!』



ワタワタとPDAに文字を打ち込むセルティを見た名無しさんは、次に目にする言葉がどんな言葉であるかだいたい予想が付いていた。
しかし、普通はこんな考えに至るはずがない。

名無しさんはゆっくり、首を縦に振った。





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