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□乱れる妄想と冷めた現実
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先に言っておくけども私は雲雀さんの彼女でないし、彼女になるつもりはさらっさら無い!
…かも。





『んっ…あ…雲雀、さん…』



『可愛いよ、名無しさん』



ギシギシと鳴るベッドの上。
乱れる呼吸が、部屋を何とも色めき立たせている。



『っ…好き、大…好きっ』



『はぁっ…僕、も…だよっ…』



激しく揺れ動く雲雀に合わせ、名無しさんも体が上下に動く。



『っあ!…イ、くっ…』



『一緒に、イく…よっ』



先ほどよりも激しくなる腰使い。水音と2人の喘ぎ声が部屋に鳴り響く。




「『雲雀っ…!ああっ、イっちゃう』ってちょっと何するのさ名無しさん。僕の愛読本返してよ」



「これが愛読本とか、一回堕ちて廻ってきた方がいいですよ。て言うか何勝手に官能小説の主人公の名前変えて音読までしてるんですか気色悪い」



ときめきピンクメモリアル、何とも安っちい18禁。(あれ…なんかこの題名聞いたことあるような)
パラリとページをめくると、ところどころではなくてほとんど全部が行為中の文章で埋め尽くされている。



「本当は名無しさんとシたいんだけどね。ヤらせてくれないから本で我慢してるんだけど……悪い?」



「何で私がそんなことしなきゃいけないんですか彼女じゃあるまいし。てか、Yシャツにスパッツって格好で顔赤らめながら何言ってるんですか本ッッ当に気持ち悪い」



「今この状況で君に罵声を浴びせられると興奮せざるを得ないよね」



噛み合わない会話に苛立つ。まあ、いつものことだけど…。
その前に、いつになく気持ち悪い格好をしている雲雀さん。普段は某ネズミ族の着ぐるみとかピチピチのパンツ一枚とか。
それに比べてどれぐらい気持ち悪い格好かって言ったら……外国のチョコレートに生クリームをのせて蜂蜜かけたのをあっつい部屋で一気に食べる感じかな?



「で、私はいつから雲雀の彼女になったんですか?」



「生まれる前から?あ、一億年と二千年前からだね、うん」



「それはすごいですね。すごいってのはあなたの脳内のことですよ?そしてなぜそんなにどや顔なんですか?別にうまい事言ってないのに」



ニヤニヤと人を見下さんとばかりのどや顔。古めのネタでなぜそんなに自信を持って口から言葉をはけるのか。あ、失礼。言葉が汚い。



「ツンデレかい?萌えるね」



「あなたの脳内、どれだけ都合のいいようにできてるんですか。イケメン南国果実より南国バカですね暑苦しい早く腐ってください」



「名無しさんを女の子とかけるのも良いかもね」



「その腐るじゃないって」



疲れるなぁ…時計を見ると午後6時。おっつ、忘れてた。用事があったのに雲雀さんが低レベルな話するからすっかりだった。



「はい、これ」



「何?これ」



小さな紙袋を1つ、ズボンを履き始めた雲雀さんに投げ渡す。(そもそもなぜ脱いだ)
着替え中にも関わらず器用に袋を受け取る彼はやっぱり…すごい。の、裏の裏の裏……の裏。



「開けてください」



袋から小さなラッピングされた箱を取り出しふたを開けた。少し驚いた顔をしてる。くそっ…ちょっと、ほんのちょっとだけ嬉しい……調子狂うジャマイカ。



「…これ、」



「あーっと、たまたまですよ?この前デパート行ったらですね、たまたま見つけまして。この前そのリング欲しいって言ってたんで…ついでに買ってテテテテ!ちょ、雲雀さん離せテメェ」



ギュッと抱き締めてきた雲雀さん。嬉しいようなキモイような複雑な所存でございます。



「ありがとう。嬉しいよ」



「いえ…別に」



何て、本当はデパートはしごしてやっと見つけたんだけど、そんなこと口が裂けても言わない。自己満、ってことにしておこうかなぁ!うん。



「名無しさん」



「はい?」




あ、そもそも、





こんな変態に惚れてる私が、一番重症だ。







「そうだね、僕的にはもう少し胸がある方がうれし「死ねえぇ!!」」



前言撤回。超撤回。







乱れる妄想と冷めた現実



(こんな危ないスタート私は許しません)(もっと過激な方がいいって?)(一回耳鼻科と脳外科と精神科に行ってきてください)




 

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