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□犯罪という言葉をご存じですか
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先に言っておくけども私は雲雀さんの彼女でないし、彼女になるつもりはさらっさら無い!
…かも。



「で、あなたはどうしてここにいるんですか?」



放課後、友達と学校を出たところで現れた雲雀さん。
相変わらずの格好で相変わらずのオーラ。



「何って…迎えに来たに決まってるでしょ?」



と、チラッと私の横にいた友達を睨む。
…これは絶対に悪意があってやってるよね。



「…名無しさん、ごめん…先帰るね!」



「えっ、ちょっと…見捨てないで!!って…」



挨拶もそこそこに猛ダッシュで帰って行った。その後を追いかようと走り出そうとしたら、グッと引っ張られる右腕。
振り返って見るとニヤニヤと私を見る雲雀さん。



「…何ニヤニヤしてんですか気持ち悪い」



「2人っきりで下校なんて久しぶりだからね」



「え?私雲雀さんと帰ったことありました?」



フッと笑い、私の右腕を引っ張り自分に引き寄せる。
後ろから抱き締められ、体が熱くなる。



「ひ、ばりさ…」



脇を通り過ぎて行く生徒たちからの好奇の視線が痛い。
端から見たら、さぞいい雰囲気なのだろう。



「…いつも、見てるからね。名無しさんのこと。……後ろから」



「ってストーカーじゃないですか!!」



バカ!と力任せに肘を引く。
見事にきれいにみぞおちにクリーンヒット!

…なんて、まさか行くはずがない。
なんともなく肘を受け止めらてしまうのが現状だ。



「一億年早いよ、僕に手を出そうなんて」



「…なに訳の分からないことをほざいてるんですか…………それで、いつになったら私は帰れるんでしょうか?」



未だ腕の力は抜けず私は動くことができない。私の肩に顔を埋めて何やらブツブツ呟いている雲雀さん。
うへぇ、気持ち悪い。



「…ハミング……レノア?…」



「いやいや気持ち悪いですから柔軟剤の匂いなんて当てないでください帰らせてください」



しょうがないな、そう言って腕を放した。



「帰ろうか」



「やっとですか」



すっと手を差し伸べられる。もちろん雲雀さんの。
…拒む理由も特になくて、手を差し伸べ返す。



「…可愛いね」



「…っ…バカじゃないですか…?」



なんやかんやでもうすぐ家。
サクサクリードしてくれた雲雀さんは本当にストーカーしてたのだと改めて自覚。



「名無しさんの部屋って興味あるな」



「あがらせませんよ?」



相変わらずの雲雀さんトークとともに帰宅。
いつもと変わらない家の前。ただ、いつもと違うのは隣に雲雀さんがいること。



「……」



「……」



不自然な間がなぜだか歯がゆい。
ここで別れるのが普通なのだろうけど…如何せん、慣れてないのでやり方が分からない。

傍らに立つ雲雀さんを見ると、ほほえみが返された。



「ねえ、名無しさん」



「…なんですか?」



どうせまたしょうもないことだろうと、声に力が入らない。
カップルだったら、ここで別れのキスとかハグとかあるんだろうな。…くそ、リア充め。

なんてよけいなことを考える。が、なかなか話をしない雲雀さん。もう一度顔を向けると、今度は口角を少しあげた、あの雲雀さんスマイル(?)が返された。



「…僕に帰るねって言われるのと、まだ君といたいって言われるの…どっちがいい?」



「…!そ、んなの…」



後者に決まってるじゃないですか、なんて口が裂けてもいえない。
かと言って帰ってくださいって言うのは…ちょっと寂しい。



「そんなの…ずるい、です」



握られてる手を少し強く握る。



「素直じゃないよね」



「…そんなことないです」



また、抱きしめてきた雲雀さんは小さくクスクスと笑っている。
離してください、なんて言いたくなくて私も笑っていたら、雲雀さんは好きだよって囁いた。

危うく、私もです、なんて言いそうになったのは絶対に秘密。






犯罪という言葉をご存じですか


(あ、僕は決してストーカーじゃないよ)
(自覚あるんですよね?)

 

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