Book 大好きな君へ
□love song...]V
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胸の鼓動が聞こえる。
高らかに、激しく私を満たす。
「久しぶり、だね」
うまく、喋れているだろうか。
顔は、笑っているだろうか。
「ああ…そうだな」
でも、今思い返せば、私は自分しか見えていなかった。ううん、見てなかった。
こんなにも、私はバカなの。
じわり、と高く昇った太陽が私たちに照りつける。
フェンスに寄りかかっている獄寺の隣、少し距離をとって私もフェンスに寄りかかる。
「…雨を見るたびに」
雨を見ると、あの日を思い出す。
獄寺の、暖かいぬくもり。雨の匂い。かさが落ちた音。
「私は、自分の気持ちに嘘をつけなくなってた」
思いは、募る。
未来のことも、考えず。
「……」
あなたは、
何を
思っているのか。