Book 大好きな君へ

□love song...]W
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目の前に差し出されたタオルとジャージ。



「あの、これ…」



「拭きなよ。風邪ひくよ?」



スッと指差された先にはトイレの文字。応接室にはトイレもあるのか。
雲雀に一礼をしてトイレに入る。中は案外広くて、綺麗だ。借りたタオルでとりあえず顔を拭く。もう涙は止まっていた。
頭を拭いて制服を脱ぐと、雨が滴るほど制服が濡れているのが分かった。



「(これどうしよう)」



入れて帰るものが無い、が今は着替えることが先だ。設置された洗面台に制服を置く。ジャージの手を伸ばすとカサッと音がした。重ねられたジャージの中に手を入れると大きめのビニール袋が一枚、ちょうど制服が入るサイズのものが挟まれていた。



「気が、きくな…」



また目に浮かんできた涙をこらえてジャージに手を通す。と言うか、そもそも雲雀はジャージを着るのか。おそらく、新品に近い状態なのでほとんど着ていないのだろう。私には少し、大きい。
少し髪を整え、制服とタオルを袋に入れトイレから出る。私が出たのを見た雲雀は部屋の一角へと消えていった。
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