Book 大好きな君へ
□love song...\
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−「あの…委員長」
「恭弥」
「え?」−
私が発した言葉はね、委員長だけに言ったんじゃないの。
委員長の陰から見える人影。
あなたは、誰?
何でそんなに、悲しい顔をしているの?
誰が、私の名前を呼んでいるの?
ねぇ…
「待って…」
フッと意識がはっきりとしてくる。見覚えのある天井。体を起こすと、見覚えのあるベット。
「…あ、起きたのな」
「山本?あれ、私なんで」
ベットに突っ伏して寝てたのだろう。目を擦りながらホッと息をつく。
「覚えてないのか?昨日の夜、みんなで肝試しして、出口に名無しさんが出てきたと思ったら急に倒れて」
「…あ、」
そうだ。肝試ししてて、出口に向かって走ってたら委員長にぶつかって、それで
「あの夢見たんだ」
「夢?」
「ううん、なんでもない」
(なんでも、なかったことにしたい)
ぐるぐる頭の中で考えが絡まる。
「びっくりしたのな。急に倒れるから」
「ごめんね…山本が運んでくれたの?」
うなずいた山本。
話を聞くと、どうやら貧血だったらしい。