Dream

□例えば、
1ページ/1ページ



例えば、今日が幼なじみの甲子園の決勝戦で、絶対観に来いよ!なんて言われたら?その上名無しさんが来ないと負ける、なんて言われたらどうする?




「名無しさん、来てくれたのか!」


「武が観に来いって言ったんでしょ」




試合前、フェンス越しに話しかけてきた武。その顔は本当に嬉しそうで楽しそうで。




「名無しさんが来ないと本当に負けるのなー」


「ばーか」




フェンスから指を出し武にデコピンをする。試合前の大事な体に…なんて言ってるけどそんなの知らない。




「あ、そーだ、えっと……あれ?んー…っと、あったあった」




鞄を探り昨日徹夜で作ったミサンガを鞄から取り出し武に渡す。




「え?俺に?」


「…いらないなら返してよ」


「いや、サンキューな!」




武がミサンガを腕につけるとちょうど収集の合図がかかった。




「ほら、行っといで」


「ホームラン100本は打てる気がするのなー」


「嘘付け。…頑張ってね」




チームの元へと走っていく武。
少し走り、こちらを振り返った。




「俺、名無しさんの為に勝つから!」




見ててくれよって笑った武。
分かったから…グランドで叫ばないで。恥ずかしいし女の子達からの視線が痛いし。

でも、例えばさ。
あのミサンガ、やっと成功した物でさ。そもそも観に来いなんて言われなくても観に来るつもりでさ。さっきの台詞もすごい嬉しくてさ。
幼なじみ、なんて言ってるけど本当はあいつ、それ以上の存在で。好きで、大好きで。
あいつに恋してたら、どうする?





例えば、




(私達の恋愛も、
プレイボール)

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ