Dream

□以上、君を好きな理由
1ページ/1ページ



「名無しさんを好きな理由?」


「そ。私を好きな理由。」




いや。何、急にこの子。
仕事をしてる僕の前に仁王立ちで立って変なことを尋ねてくる。そもそも名無しさんを好きな理由なんて考えたことなかった。気づいたら好きになってたからね。
だから今更好きな理由なんて…。




「それ、答えなきゃ駄目?」


「何それ!?何となく私と付き合ってるの!?」




だからそうじゃなくて。ただ単純に好きってだけじゃ駄目なの?
わーわー騒ぎ始めた名無しさん。




「そもそも、何で今更」


「恭弥にとって私はそれ位の存在なのねっ…!」




何でそんなに必死なの?
泣き真似までし始めた名無しさん。もうこうなると答えるまで泣き止まない。
まあでもいい機会だね。名無しさんを好きな理由を考える。




「ふうっ…。名無しさんを好きな理由、ね。」




頬杖をついて外の景色に目をやる。
別に意味はないけど、何となく恥ずかしい…ような気がしてね。
話し始めようとすると名無しさんはピタッと泣き止んだ。単純だよね、本当。




「そうだね…。
本当は名無しさんみたいな女子、正直言って嫌いなタイプなんだよね。」


「…それ本気?」


「でも、名無しさんだけは何か違った。特別、って言うのかな。
いつも明るくて、前向きで。そのくせどこかほうっておけない。
そういうとこに引かれたのかな。」




チラッと名無しさんを見る。
ほんのり赤くなってる頬。自分から聞いてきたのに、変な子。




「そっか…。うん。そっ!ありがと、恭弥!」




そう言って部屋を走って出て行った名無しさん。結局なんでこんなこと聞いたのか分からなかったけど…いいや。





以上、君を好きな理由





(だって不安だったんだもん)

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ