Dream

□放課後、教室
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「やっべ…!」




部活終わり。教室に明日提出のレポートを置きっぱなしにしていたのに気づいて校舎内を急いで走る。
夕日が差し込んで真っ赤に染まる廊下。生徒はみんな帰たのか誰の声も聞こえない。しばらく走ると見えてきた教室のドア。一息着いてからドアを開けた。




「…っ、山本…?」


「名無しさん…?」




誰もいないはずの教室。その教室には机に突っ伏して泣いている名無しさんの姿があった。カバンを置いて隣の席に座ると涙を拭って話しかけてきた。




「部活は?」


「終わった。レポート教室に忘れちまってよ。」




そっかって笑った名無しさん。名無しさんがここで泣いてる理由は分かるような気がすっけど、一応聞いてみる。




「名無しさんは?」


「ん?……ああ、フられた。タイプじゃないだって。」




やっぱりな…分かってたけど聞かなきゃよかった。好きな女がフられた話なんか。




「こんないい女、フるなんて有り得ないって。ほんっと…」




また、目を押さえて泣き出した名無しさん。こういう時はどーしたらいいんだ?側にいるべきか?それとも1人にさせてやるべきか?
無言になる2人。




「(やっぱり帰るべきだな…)」




カバンを肩に掛け椅子から立ち上がる。歩き出すと少し後ろにクイッと引かれる感じがした。




「…もーちょっと、いてよ…」


「…ああ、」




少し椅子を名無しさんのそばに寄せて座ると、肩に顔をうずめて腕をつかみ少し声を上げて泣いた名無しさん。

こんな事しかできない。いや、
こんな事でいいならいくらでもしてやるから。
いくらでも側にいてやるから。
だから、もう少し俺を見てくんねーか?





放課後、教室
(重なる、2つの影)

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