Novel*夢*

□3月は君との
約束をはたそう
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『春だね』

雲「で?どうせ…なんかねだりに来たんでしょ」

『…よくわかったな』

雲「ねだる時、君は限りなく当たり障りのない話をしだすからね」

『桜、見に行こう?』

雲「やだ

いい思い出なんて…
ありゃしないんだから。

雲「病気になったり…
その所為でナッポーに…負けて…なんか絶対にないけどさ

『行こッ!!』グイッ

雲「狽ソょッ…!?」




ザァッ…

『綺麗…スゲー…』

雲「…」

治った筈なのにまだ
クラクラする気がした。


『ねぇ』

雲「な…に…」

『桜、キライ?』

雲「…」

迷う必要なんてないのに
彼女の俯いた瞳を見て…

『…そっか』

雲「ッ…!!」

何で胸が苦しい。
何で胸が痛むの。
何?意味が分からない…

『じゃあ…上見て、目を閉じて三秒数えて?』

雲「…?」

言われた通り、目を瞑りピンクの桜の海になっているであろう空を視た。

3…2…1…

『目を開けて』

ザァッ…!!

雲「!!!」

さっきまでピンクの海
だった筈の空は、
紫の細長い花弁で
埋め尽くされていた

雲「何…え!?」



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