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□朝の裏庭で
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「銀ちゃーん、ねぇ銀ちゃん起きるアルー」
朝っぱらからいつもの甲高い声が目覚ましとなり、銀時はぼやぼやと瞼を開く。
「銀さん、早く起きてくださいよっ!大変なんですっ!」
今朝は新八までもが神楽に加勢している。
「…んだよぉもうちっと寝かせて・・」
再び眠りの中に入ろうとする銀時の腹に、いきなり子供2人分の重さが降ってきた。
「んぐぇっ!」
さすがの銀時も飛び起きると、布団の上には神楽と新八が飛び乗っていた。
「んだよお前らぁ!ただでさえ朝は低血糖で辛い…」
「大変ネ!ヅラが…」
天然パーマと寝雑の悪さが相まっていつも以上にからまった頭を抱えていると、神楽が血相変えて銀時にしがみついてきた。
「何っ、ヅラがどうした?!」
「銀さん!そこに高杉もっ…」
「高杉だとぉ?!」
新八の口からはまさかの高杉の名前まで飛び出した。もう寝起き早々、銀時はもう何が何だか分からない。
「何があったって言うんだ―…」
『シーーーっ!!声がでかい!』
たまらず声を張り上げた銀時を、神楽と新八は慌てて制止した。
「(…な、なんだよお前ら)」
つられて自分も小声になる。
「(そこにいるネ、ヅラと高杉が)」
「(それも今、うちのすぐ裏にいるんですよ)」
「(何ぃ?!すぐそこに来てんのか?)」
「(その窓から見てみるヨロシ、でもヅラの様子がおかしいアル)」
「(…ヅラはいつもおかしいけどな)」
「(僕はまだ窓の下覗いていないんですが、神楽ちゃんが見たらしく…ちょっと銀さん見て来て下さいよっ)」
「(お、おう。わーったよ)」
銀時は二日酔いで重い頭を抱え、立ち上がると、一応忍び足で窓まで近づいた。
「(そーっと、そーっとですよ!)」
窓を開けるそばから新八が後ろで念を押す。
「(わーってるよ、うるせぇな)」
銀時は、裏庭を見渡せる窓をそろそろと開けた。出来るだけ窓からはみ出さぬよう、顔を半分だけ出し下に目をやる。
―げっ…
その光景に思わず息を飲んだ。
銀時の目に飛び込んだのは、桂と高杉が人の家の裏で絡みあっている、あり得ない光景であった。