SS

□密会
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「ん…」


ひと気のない公園。

真っ暗闇の中の、ベンチの脇で、ゴソゴソと動く不審な人影があった。



昼間は子どもや犬を連れた人達で賑わう、割と広い公園だ。

だが、今はもう真夏の夜の11時過ぎ。

(セミの声がこんなにもけたたましく鳴ってるんだ、俺たちの声なんか聞こえやしない)


長谷川は、辺りを見回す素振りをしては、再び行為を続行した。


「はっ長谷川さん…キツ…」

「あ、すまない」


華奢なその人は、俺が体重をかければもう身動きが取れなくなる。

夢中で思わず乱暴になったのを侘びたが、もう俺は理性を保てないみたいだ。

そのまま土の上に直に組み敷き、その滑らかな肌に吸い付く。


「…あぁ…」




桂さん。


俺と桂さんは、元は銀さんの幼馴染ということで知り合った。

しかし、俺たちがこんな関係にまでもつれ込んだのは、はたしていつからだろう…?



そもそも二人っきりで出会ったのは桂さんが「ヅラ子」になっていたの時なのだが、あれやこれやで、遂には密会してまでお互いを欲するようになってしまった。

しかしどうしたものか、桂さんには悪いと思いつつも、いつも人気の無い公園や路地裏など、「外」で抱き合うことが多くなり、それはいつしか決まり事のようになってしまった。


(それも全ては俺の甲斐性の無さが原因、‥‥か?)



頭の中は意外と冷静で、あれこれと桂との馴れ初めを辿りつつも、舌先だけは丹念に首元を這い回る。

桂は目を閉じながら、時折襲うゾクゾクとした感覚に酔いしれていた。


「あ、桂さん…背中、痛くない?」

「ああ。案ずるな、俺はそなたの思う程柔じゃない」

二人を受け止めるのは柔らかい布団ではなく、固い地面なので、桂は冷たい土と大柄な男に挟み撃ちにされていることになる。

しかし案外背中は辛くなく、桂にとってはそのひんやりとした土の冷たさがむしろ心地よいくらいだった。





長谷川は不器用なりにも、いつも桂の事を気遣う。

そこに桂は、周りの者達とは違う大人の優しさを感じていたのかもしれない。





ベンチが丁度よく二人を隠す壁となってくれたので、それをいいことに俺はどんどん桂さんの着物を脱がせて行く。

「は、長谷川さん、ここで全て脱ぐのはもしもの時まずい…」

「大丈夫だって。やっぱ着物が邪魔になってきてね」

そう言ってはスルスルと帯を解き、徐々に白肌を露にする。


この日は月の出ない「朔夜」だったが、真っ暗闇の中でも、街灯はいつものように公園を点々と照らしていた。


その街灯は、桂の体をも青白く照らしていた。

厭らしさを通りこし、芸術的な桂の妖艶さに長谷川はゾクっとした。



「恥ずかし…」
「いや綺麗だよ、桂さん」


長谷川は徐に、半ばそそり立つ桂自身を掌で包み込んだ。

「うっ…」

「もうこんななってる」

その無骨な手が与える快感はあまりにも強く、むしろビリビリと熱く痛いくらいだった。

長い指が器用に、先端から根元までを行ったり来たりし、その度に、先走りの液があふれ出てくる。

桂が見ると、液体に濡れる性器や長谷川の指が、街灯の明かりでキラキラ光っており、そのあまりの卑猥さに思わず顔を背けた。


「ん……長谷…あっ」

扱く指に少し力を加えれば、桂が仰け反って反応するので長谷川は面白くなり…


「‥あぁっ!」


思わずそのまま口に含んだ。

「長谷川さ…ぁん!」

いくら身をよがっても付きまとう、そのヌメる感触と舌の刺激に、桂は一瞬にして絶頂に達する。


「あ…出るっ…もう離し…」

桂は堪えきれず、長谷川の口内に射精した。

長谷川はそれを迷わず飲み下した。





「す、すまない…」

桂さんが本当にすまなそうな顔で謝るので、俺はたまらなく愛しくなり髪を撫でた。

「もう、謝ることなんかないって」

「すまない…」


(言ってるそばから、桂さん、謝るんだもんなぁ…)



我慢出来ず、俺は自分のベルトを外しにかかる。

カチャカチャという音に、桂さんが反応を見せる。

ズボンのチャックを降ろし、既に勢い立った物を取り出す。
その間も、桂さんはじっと俺を見ていた。


「恐いかい?」

「いや…いつでも、来てよいぞ」


俺は迷うこと無くその両の足を持ち、腰をこちらへ寄せると、ゆっくり挿入させた。



「ぐ……っぁ」

内壁を摩りながら侵入してくる異物に、桂は身を悶えながら声にならない悲鳴を上げる。

「全部……入ったよ」

「…んん」

長谷川の物が全て収まると、休む暇もなく律動を始めた。

徐々に動きの幅が大きくなると、同時に桂の体も大きく揺さぶられる。

「ぁ…ぐっ」

ふいに一番敏感な部分を擦られ、桂の体がビクンと跳ねる。





(あぁ…桂さん…)


「ああッ…あッ!」


あれほど裸になることを恥じていた桂さんが、俺の前で大きく足を広げ、厭らしい声を出すことももう躊躇わない。


そういう俺も理性を保つことができなくなり、桂さんを腰ごと引付けると、力任せに貫いた。

二人の荒い息と、グチュグチュという水音がやたらと耳につく。

「は、長谷川さん…もう…ッ…」


俺も限界が近かったので、更に腰の動きを早め、桂さんの性器を掌で包み一気に扱いた。

「ぐっ‥」
「あああッ…!」


俺が桂さんの中に吐き出すと、桂さんも同時に果てた。








「ハァ…ハァ」


俺は心地よい余韻に浸りながら、桂さんの中から自分の物をズルッと引き抜くと、大量の白濁液も一緒に流れ出た。



冷静になって眺めてみると、なんと卑猥な光景だろうか。


透けるような白い肌に、黒髪が散らばっている。
そこから覗く頬は、今日落ち合った頃とは比べ物にならない程、血色が良い。


それを、街灯が、狙ったかのように妖しく照らしていた。


(この状況……銀さんが見たらどう思うかな?)


時に男は変な所で自慢したくなるのだ。

しかし、このことだけは他言出来るはずは無いので、俺は一人でこの優越感を噛み締めることにした。


所有物? いや、違う。むしろ逆だ。

俺はもはや、桂さんに依存してしまってるような気がする。…


目の前で力なく横たわる桂を見下ろしながら、長谷川はまたしても脳内で独り言をつぶやいていた。


スル…


太股をゆっくりと撫でてみる。


「ん…」
「あ、桂さん…気がついたかい?」


桂さんは、半分気を失っていたようだ。

(俺が少し乱暴にしてしまったから…)


太股を滑らす手を、そのまま頬へ持って行く。
顔に無造作にかかった髪をはらってやると、桂さんが目を瞑ったまま答えた。


「長谷川さん…今度はうちに来たらどうだ?」


俺は耳を疑った。

そしてその意味を理解すると、一気に嬉しさが込み上げてきた。

今までは隠れ家がバレるのを恐れ、辺鄙な場所での逢瀬を繰り返していた。

それだけに、家に来いという言葉はそれだけで「特別な間柄」という証明なのだ。


「さすがに、地ベタでこんなに激しく抱かれたのでは、背中がもたぬからな」

苦笑する桂さんを、俺は抱きしめた。


桂さん。


俺は自分でも恐いくらい、
どんどんアンタに依存しちまってるみたいだ。



// fin


マダヅラ第2弾です。

この二人は本当に危険な匂いがする…

不倫、野外プレイとくれば…

もう何でもありなんじゃないかな\(^0^)/


…と言いつつも、単にオッサンに犯される桂に萌えるので、欲望のまま書いてる自分がいます。笑




 

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