Story

□流れ星
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コン、
向かいの窓に当たる音。
カーテンが開かれる。
窓を開けてこちらを向く人に、言葉を投げ掛けた。

「空、きれいだよ!星、みにいこう?」

二人集まるのは裏の公園。
ブランコに揺られながら空を見上げる。
星と星の間をすり抜けて、流れ星が流れた。

「あ!流れ星!おねがいごとしなきゃ」

一人あげる歓声。
指を指して流れた煌めきを追う。
星のように光る目を閉じて、祈りを始めた。

「馬鹿だな。流れ星って、宇宙の塵が大気圏に入るときに燃えたやつなんだよ。」

「えー、なんかロマンチックじゃない…」

「だって、本当のことだし。」

小さな言い争い。
二人してむくれ顔になる。
そのまま空を見つめた。

「「あ」」

そろった声。
また流れた流れ星に、二人声をあげる。
目を見合わせて、はしゃぎ始めた。

「わぁー!今日だけで二回みれた!」

「すごいね!なんか、嬉しくなる」

再び空へ向かう視線。
少しの間、静寂が流れる。
静寂をやぶった声は、柔らかかった。

「流れ星が何か、なんていいや。」

「うん、だってキレイだから、それでいいんだよ」

「そうだね」

「そうだよ」

響く笑い声。
楽しい時間はすぐに過ぎる。
お母さんの声で、二人は部屋に帰った。







晴れた日の小さな約束。
二人は星空を見上げる。
幼い頃の約束は、二人の宝物となった。








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