NOVEL

□A Long Walk
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「君、一人?」
男から不意に声を掛かれる。

A Long Walk

ガラの悪い連中三人がのこのこやって 来た。城下町の大道路の為、周りに人は居たがじろじろ見ているだけで手出して来る様ではない。結構身体鍛えた連中にでも見えたのだろうか、長身と身柄と腕 筋を拝見すればを流石に普通は誰も助けに来る勇気は無い。それを自覚していて男共は確実に町人達に迷惑を掛けている。それも大道路で堂々と…此処の警察は 何をしているんだ?
声を掛けられたテイト=クラインは男達を無視する。どんなに威嚇的な外見をしていても軍で一生過ごしてきたテイトは奴ら を恐れるはずも無く最早見向きもしない。休日だから軍服は着ていない所為か唯の学生に見えるらしくて一般人でも話し掛けられる事が多い。最初は中々慣れな くてよく緊張をしていたが此処の所は大分普通に返事が出来る様になった。六歳で戦闘奴隷として軍に買われて、おまけに小さい頃の記憶はあまり無い為、知悉し ているのは軍の訓練場だけ。士官学校に入ってから十五で初めてミカゲと町に出た時は相当不意打ちを食わされて逃げ出そうとした時の事は今でも時々友人にか らかわれている。
それで自分の世間知らずさに意識して来て折角の休みの日は大体何処か外出した事の無い地方へ行く事に決めていた。序にミカゲとは休日を擦れ違った為一人行動している。先ほどまでは新しく得た自由を楽しんでいたがこんな風にちょっかい出されたら誰でも機嫌は落ちる。
「なあ−、其処の可愛い子ちゃん、俺達とお茶でもしようぜ。」
又来た。って何で又女に勘違いされるんだ!俺のどこら辺が女に似てんだよ!とテイトは内心で叫ぶ。何も言わずに遠回りしようとするが男達はそう簡単に消えてくれないらしい。
「冷たいな〜、知らん顔をしないでよ。」
「お譲ちゃん遊びにでも行かない?」
「こんな所に女が一人で出歩くのは危ねーぜ?」
貴様らが一番危ねんだよ。
「結構です。」
そう告げて睨み返すが余り効果がない。全てこの身長が悪いのだ。俺がフラウやアヤナミ様ぐらい背伸びしていたらきっとこんな目には遭わないだろう。
「えーいいじゃん。一寸だけだからさ、な!」
「そんなに遠慮しなくたってちゃ―んと俺達が付き合ってやるよ〜」
「何も悪いことはしないからさーvv」
結構悪者に見える癖に。皮肉の積もりか。
「俺急がしいので…」
適当に答えてさっさと歩き出そうとすると又軟派男に止められた。
「何々、良く聞こえないよー」
「邪魔です。」
今度は強めに言う。最終警告と意味を含めているが予想通り威力が無い。
「嫌だなー照れちゃって、」
「行こう行こう」
そう言ってテイトの腕を掴もうとした時、そして彼に蹴飛ばされる一瞬前にテイトの後ろから熟知している声が聞こえた。


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