捧げ文

□情けねぇな
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「あ"〜…頭痛ぇ…クソ」

昨日は飲み過ぎた。

長谷川さんとパチンコで勝ってからは

それはもうテンション上がりっぱなしで
居酒屋で勝った金で飲んだくれたんだっけか。

「帰って水飲んで寝るぞ俺は」

誰に言ってるわけではない独り言を呟きながら

俺は万事屋に繋がる近道の路地裏を

フラフラとする足を動かして進んでいく。

すると

朝方なのにそんな薄暗い路地裏にいる奴が一人いた。

見覚えのある服にタバコの匂い。

あれは明らかに真撰組の副長、土方十四郎だった。

「……」

そいつの姿を見るだけで酔いは一瞬にして醒めた。

こっちの道にしたのは正解だったなと思いながら

ゆっくりと気配を消してじりじりと近づく。

一応俺はこいつに恋心的なのを抱いている。

いつからとか何故と聞かれれば困るが
好きなものは好きだと諦めるしかない。

脅かしてやろうか、それともあえて知らんぷりをしようか。

そんなことを考えながら近づいていく。

するとだんだん近づくにつれ
土方がなんでそこに立っているのかがわかった。

「…あぁ、…で、…わかってる」

誰かと電話している。

でもなんでこんなところで?と疑問が浮かぶ。

そもそも誰と。

俺は脅かすのも、知らんぷりも止めて影に隠れて
聞き耳を立てることにした。
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