捧げ文

□何で俺じゃ
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俺はてめぇが好きだ。

でもてめぇは女が好きなんだろ。






「銀さん私は覚悟は出来てるわ!さぁ襲いなさいよ!さては焦らしプレイ?!いいわ!銀さんなら、」

「だぁぁあ!うるせぇなコノヤロー!!」

いつも見るお前は
女と歩いていることが多い。

俺が女だったらなんて思わねぇけど。

だってきっと俺が女だってお前は俺自体が嫌いなんだろ?

いつも喧嘩ばっかりのしかも野郎なんか。

好きになるわけがねぇ。





「銀さん聞いて私、私っ!」

「あーはいはい、聞いたからとっとと帰れ」

メガネの女が万事屋の手に触れた瞬間
俺は自然に眉間に皺が寄っていた。

「……近所迷惑なんだよコラ、そこのカップル」

「な、ひじ…」

「カップル!そう見える?!ほらやっぱり銀さんと私は結ばれるべ…」

「うるせぇって言ってんだろ納豆女、くせぇんだよ」
「口が悪い銀さんもいいわ!もっと罵り…」

「だから近所迷惑だってんだろがぁあ!」

俺は言うことを聞かない女に対して怒鳴る。

すると女がいきなり雰囲気が変わり
こっちを見て。

よく見れば綺麗だなと万事屋の好みじゃないかと
そんな女々しいことを考えてしまった。

「何あなた、銀さんと私に嫉妬してるの?」

「!?は、」

「生憎あなたの入る隙なんてないから、ねぇ?銀さん?」

「……あー…」

「っ…!」

万事屋がやる気なく頭を掻きながら俯いて。
顔が見えないが明らかに気持ち悪く感じたのだろう。
だって男が男に嫉妬なんて。

「…ふざけんな、チッ、余計な時間だったぜ」

「あら逃げるの?」

「……逃げるも何も俺ぁ…」

最初から隣に並ぶのすら 許されてねぇんだ。

そう小さく聞こえない大きさで
呟いて来た道を戻った。
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