捧げ文

□目の前にいるのは
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「…にしてもお前あれな」

「…んだよ」

「寝相、」

「あ?」

「意外に悪いのな」

「はぁ?」

それ、と指をさされたのはこいつが布団ごと抱きしめたり
いろいろ好き勝手した所為ではだけた着流しだった。

「違っ、これはっ!」

「いやいや恥ずかしがらなくてもいいんだよ?俺も割と寝相悪いほうだし?」

一緒にするなと叫ぼうと思ったが万事屋がそう言った後
いきなり近づいてきて俺の足を触って。

「お前、毛生えてねぇじゃん、ツルツル」

「!?」

興味津々というように俺の足を好き勝手に
撫でくりまわして

その度俺の心拍数も上がっていく。

「よ、万事、屋!」

「んだよ、別にいいじゃねぇか減るもんじゃねぇし」

そういう問題じゃなくて俺の心臓が保たねぇんだよぉおお!と心の中で叫びつつ
俺はとりあえずこの二人きりの空間から脱出しようと思い
勢いよく立ち上がった。

「…土方?」

「め、飯食わねぇか!?」

「お、おういいけど」

早起きとはいえそろそろ腹も減ったし
近藤さん達もこいつがここにいる理由を知っているなら

此処を開けても問題ないだろうと
戸を開けた。

「飯持ってきてやるから、お前はそこで待ってろ」

「えー良いじゃん、一緒に行こうぜ」

そう言って肩を押され
焦って後ろを振り向くと

万事屋が見たことないような笑顔で笑ってて
何がおかしかったのかはわからないが

とりあえず前を歩いていれば赤くなったであろう俺の顔は
見られなくて済みそうだと思いながら

そのまま一緒に食堂に向かった。
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