*短編*

□君の笑顔が
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そっと静かに部屋を覗くと、清麿は正装のままでベッドに寝転がっていた。

――いつも、なら。

『ガッシュ!!寝るならせめてその高そうな服は脱げ!!しわになるだろうが!!!』

ガッシュが仕事着のままベッドに寝転ぶ度に、そうやって怒鳴るのに。
ただでさえ吊り気味の目を更に吊り上げて、今にもゲンコツを落としそうな勢いで。

それなのに。

今ベッドにうつ伏せる清麿からは、いつもの覇気が感じられない。
ピクリとも動かないその姿からは、憔悴の色がハッキリと読み取れた。

『今日の会議は俺が出るから、お前は学校行ってろ』
『しかし、今日はあまり私を良く思わぬ者達との話し合いで…』
『お前なぁ、ただでさえ残念な頭してんだから、無理かもしんないけど、っつーか多分無理だと思うけど、今のうちに詰め込める分は詰め込んどけ?』
『ぬ…そ、そんな酷い言い方をせずとも…ッ!!!』
『だからさ、皆が少しでも認めてくれるように賢くなって来いって言ってんだよ。会議なんていつでも出来るんだから、お前は今出来る事を一個ずつやって行こうぜ?』
『…うぬ。しかし、清麿が』
『俺はお前の補佐をする為に魔界に来たって、分かってるよな?』
『……うぬ』
『それじゃ、俺にも役目を果たさせてくれよ。お前を立派な王様にする事が俺の仕事なんだからさ』

いつものように優しく微笑み、頭を撫でてくれた清麿。
魔界に来てから、よく笑うようになった清麿。

そうだ。
いつだって、清麿は笑っている。

――私に、心配をかけさせまいと。

辛い時ほど、上手に笑うのだ。

(…きよ、まろ…ッ!!!)

戦いに勝っても
強くなっても
王になっても

お主を守れぬのなら、私は。

  
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