頂き物・捧げ物

□『心的外傷』
1ページ/2ページ

昔に悪夢に魘されているところは見たことがあったけれど、
それが今もあるとは知らなかった。

『心的外傷』

ガッシュは昔から、オレの怪我を物凄く心配してくれたりもした。
魔界に来てからだってそうだ。

ある日
偶々夜、王の私室の前を通った時に、その声が聞こえた。

「っよま…すま…のだ……しが……きよまろぉ…!!」
「…ガッシュ?どうした?…入るぞ」

ノックもせず開けると、そこには顔色の悪いガッシュ。
丸くなって、魘されながらも寝ていた。

「ッッ!!」

目に涙を溢れさせて、急に起き上がった。
多少は驚いたが、笑って言ってやる。

「どうしたんだガッシュ?悪い夢でも見てたのか?」
「き…よま……きよまろぉ…っ!!」

子供のように清麿の胸で泣きながら、清麿に話す。

嫌な、嫌な夢を見た。
清麿が、死んでしまう夢。
自分に力がないから、清麿が死んでしまう夢。
たまに、見てしまう。
起きてもそこに清麿はいないから、凄く心配になる。凄く悲しくなる。
清麿にはもう、怒ってももらえないのか、と…
清麿にはもう、笑ってももらえないのか、と…
綺麗な声も、宝石のような瞳も、もう、ないのか、と…

清麿は、いない のか、と。

でも今日は、目が覚めれば居てくれた。
いつものように笑ってくれた。
どうしたのかと、そう言う声が聞けた。

自分のせいで、死んでしまったというのに、
優しく、いつものように接してくれた。

もう二度と、離れないで欲しい。
二度と、置いて、いかないで。
いつも一緒がいい。
清麿無しでは、生きてはいけないから。

「……うん。ごめんな。
…おやすみ、ガッシュ」

言うと、ガッシュは穏やかに眠り始めた。

END
次へ

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ