桜花の舞姫
□プロローグ〜くるい咲きの桜〜
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毎日が同じ繰り返し。
何かをしても
何もしなくても…
時間は無情にも過ぎていく。
だからこそ
私はこの場所に来る。
私の日課、大きな桜の樹が一本だけある場所。
ここは誰も知らない穴場スポット…
私はここが好き。
『おはよう』
男子用の制服に身を包み、束ねた長い髪を風に揺らしながら、桜の樹に手をつき話しかける。
もう、6月だと云うのに咲き誇る桜の樹。
―まるで、桜の樹の周りだけ季節を感じさせないかのように…。
『貴方はいつ見ても咲き続けているね…、あの時と変わらなく…』
そうこの桜の樹は散る事を知らない。
そっと瞳を閉じ、その時の記憶を思い出す。
すると、風が強く吹き抜ける。
『キャッ!!…そろそろ学校に行けって事かな…』
風により舞散る桜の花びらが幻想的で綺麗。
『いってきます』
―そして物語は始まった。