[「Deus Ex Machina」2nd.season.prologue]
これは侵食だった。
これは蹂躙だった。
これは害悪だった。
これは賛美だった。
これは歓迎だった。
これは悲哀だった。
これは憎悪だった。
これは強姦だった。
これは狂気だった。
これは後悔だった。
これは憤怒だった。
これは希望だった。
これは絶望だった。
これは愛情だった。
これは苦痛だった。
これは感情だった。
これは世界だった。
初めて僕の場所を侵食して蹂躙したのは家族をテロで失った天使を駆る人間。
彼は僕には害悪だった。
けれど僕は彼を賛美して歓迎した。
ただ彼が持つ悲哀と憎悪が理解出来ずに強姦をした。狂気に満ちた行為を。
後悔した僕を彼は許してくれた。
だけど彼は仇を見つけて憤怒した。
それは希望なのか絶望なのか。
僕が初めて知った愛情は彼を失った事で苦痛の感情に変わってしまった。
そんな世界に未だに僕は生きている。
次に侵食して蹂躙したのはあの人間の双子の弟だった。
彼こそ僕には害悪なのに。
賛美して歓迎した彼を重ねていた。
僕が知った悲哀と憎悪を知りながら強姦された彼に狂気はあるのか。
後悔したのは僕か彼か。
彼の仇に憤怒したのは僕だった。
希望も絶望も知る気なんて起きない。
これが愛情なのかわからない。きっとこの苦痛は彼を裏切ってしまう事への感情。
そんな世界で僕はまだ生きている。
きっと僕はどんなに侵食されて蹂躙されても二人を手放す事は出来ないんだ。
どんなに害悪な存在でも僕は二人を賛美するし歓迎するんだと思う。
悲哀と憎悪から生まれた僕はそんな二人を強姦しながら小さな狂気に震えるだけ。
後悔なんてしても無駄だから。
二人の憤怒がいつか僕を殺しても。
二人に希望があるなら。僕は絶望に満ちたとしても生きていける自信がある。
これが僕の愛情だから。
二人が苦痛に満ちた表情をしなければ。
それだけで僕に感情を宿す意味がある。
だから僕はまだ世界に生きているよ。
そんな物語。
世界にとっては小さな小さな存在が出会った小さな小さな物語。
機械に愛された子供の物語。
「僕は、二人が…二人共が良いにゃあ」
―「Deus Ex Machina」第2部「銀色の月の真実を視る」始まります。―
[2nd.season.Coming Soon...]