ミンナナカヨシ

□僕+僕=僕
4ページ/9ページ




「…へ?」

「…はい?」

「…あ、あの…どういう意味…???」

コムイ、リーバーは、サラリと彼の放った言葉の意味の重たさに
驚きのあまり硬直していた

臆病なアレンだけがただ一人、わけもわからず
無垢な瞳で、腰に添えられた手に戸惑っている

「さっきからね、何か引かれる感じがするんですよ…」

『魂が引かれ合うのかな』と、小声で言いながら
隣のアレンを抱き寄せる仕草は
わざとそうしているのかと思うほど、妖艶である

「キミも感じませんか…?きっと、一つに戻りたがってる…」

((く、黒アレン…!))

覗き込むように顔を近づけた、髪の長いアレンを見て
リーバーとコムイは同時に思う

彼が黒アレンならば、顔を近づけられ
真っ赤になって視線を泳がせるアレンは
さしずめ、白アレンというところだろうか

「…よくわからないけど、触れられると…安心は…します…」

「ん…素直な返事ですね…」

まるで、子犬に褒美を与えるかのように
とても自然な仕草で、全体的に赤く火照っている
その額に小さく口付ける

「ちょ…っ、ア、アレン君…?」

見ている方が中てられてしまうほどの空気に
耐え切れずコムイが声をかけると
誘うような瞳が、コムイに向けられる

(…う;)

まともに見つめられれば、思わずゾクリとするほど
妖しく輝くその細められた銀灰色の瞳

「コムイさん、空いてる部屋、貸してもらっていいですか?」

「え…、えぇ!?」

思わず、大きな声を上げてしまう
何をするためかなど、聞かなくとも明白だ

「どうしたらいいかわからないなら、試してみる価値はあるでしょう…?」

『ねぇ…?』と、白アレンの耳に囁けば
彼は、くすぐったそうに、身を縮め、頬を染めた

「し、室長…?」

どうするのだと言いたげなリーバーに
助けを求めたいのはこっちだと
コムイは心底思う

しかし今、他になんの手段もみつかりはしない

コムイは口を噤んだ…
次へ
前へ

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ