ミンナナカヨシ

□僕+僕=僕
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しばしの沈黙が訪れる

どれだけ考えてみても、他によい方法も思いつかない
確かに、元々一つであったモノ
『魂が引かれ合う』のも納得がいく

「…仕方ないね」

「室長!?」

つぶやいたコムイの言葉に、リーバーは思わず身を乗り出した

「他に手立てもない、本人達がああ言うんだし…」

「『達』って…主に片方っすよ…?」

最初からあの場にいたリーバーは
どうしても、おどおどと肩をすくめる
いつも通りの容姿のアレンが、本物であるような気がしてならない

もっとも、極端に正確が別れてしまっただけで
どちらも本物のアレンなのだということは
頭の中では、理解しているはずなのだが…

「本当に、任せていいんすか…?」

リーバーは、チラリと髪の長いアレンを盗み見る
彼は、向かい合うアレンの髪を、優しく撫でていた

それを受けた彼もまた、向き合うアレンを
トロンと熱を帯びた瞳で見つめていた

「・・・・・」

「・・・・・」

リーバーとコムイは同時に言葉を無くす

「とりあえず、任せてみるしかないでしょ…意外とどっちも乗り気みたいだし…」

「…はぁ」

リーバーは、いまいち納得がいかなそうな顔で
頭をかきながら、呆れたように返事を返した

「アレン君」

「はい?」

「はい…?」

同時にコムイの方を向いた2人に、一瞬苦笑し
コムイは部屋の鍵を一つ、彼らに向けてポンと飛ばした
パシリとそれを受け取ったのは、通称黒アレン

「ありがとう、お借りします…」

そういうと、隣で黒アレンとコムイを交互に見つめる
通称白アレンの腰に手を沿え促しながら
2人は司令室を後にした

「…室長」

「…仕方ないじゃないか…」

司令室には、異様な空気が漂ったのだった
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