ミンナナカヨシ

□僕+僕=僕
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「なんだか、自分の声だとは思えませんね…」

涙で濡れた目尻に軽く口づければ
刺激を止めたことで、物足りなさに
請うような瞳が、自分を映した

同じ顔をしているはずなのに
あまりに艶かしい眼差しは
不思議なほどに、彼の芯を痺れさせた

「いい目ですね、欲しいんですか…?」

少し余裕を失いかけたのを、ごまかすように
長い髪をかきあげるようにして
意地悪そうな笑みを浮かべる

「え…」

恥ずかしそうに目をそらし、もどかしそうに
両足の膝をこすり合わせる仕草を見せては
上目遣いに、瞳で訴えかけた

「だめですよ、ちゃんと言わなきゃ…ね?」

「ん…」

真っ赤になり、目を泳がせながら
自身の中でぶつかり合う
恥ずかしさと疼きに苦悩の表情を滲ませる

「ホラ…どうしてほしい…?」

肌に、つ…と指を這わせれば
ビクンと身体が弓なりに跳ねた
もどかしい刺激に、理性が奪われる

「もう……ダメ……欲しい…です…」

上目遣いに、潤んだ瞳で囁かれ
それを受けた彼もまた、余裕を無くした

「ん…いい子ですね…」

なるべく冷静を装い、手早く自らのベルトを外す

それを当てがい、身体を重ねれば
長い髪が、優しく、相手の火照った肌を擽った

「はぁ…ん…」

「…本当に、敏感になってるんですね」

クスリと、余裕に見せかけた笑みを浮かべるが
最早、そんな彼をじらすほどの余裕すら残ってはいない

「…力、抜いててください」

耳にそっと囁き、わざと音を立てて口付けると
ゆっくりと自身を押し進めた

「…あ…あぁっ…っ!」

自らの中を侵していく異物に
痛みと快楽を同時に与えられ
頭が真っ白になりそうな衝動に駆られ
必死にしがみつき、衝撃に耐える

キツクしめつけられるのか
時折、苦しそうな顔を見せながら
欲望のままに、さらに奥へと突き進めた

「ふぁぁっ!」

一際強い刺激と共に、ソレが最奥に到達すると
ビクンと身体を振るえさせ、甲高い声を上げる

「もう少し…力抜いてくれると助かるんですが…」

額にうっすらと汗を浮かばせながらも
あくまで紳士の笑みを絶やさない

「や…やってみます…でも…」

首をすくめ、耳まで真っ赤になりながら
白アレンは言葉を濁した

「…?」

黒アレンが静かに言葉の続きを待っていると
もごもごとしながら、続きを紡いでいく

「えと…その…き…気持ち…よすぎて…」

最後の方など、聞き取れなくなりそうなほどの声で
もどかしげに告げられた言葉は、あまりに愛らしい

「…まいったなぁ…」

長い前髪をサラリとかき上げる彼を
白アレンはどうしたのかと、少し心配そうな瞳で見つめた

天を仰ぐようにしていた黒アレンが
再びその視線を戻した瞬間

貫かれるように、ドキンと胸が高鳴る

それは、獲物を前にした獣の目そのものだった

「手加減…できないかもしれません…キミがあんなことを言うから…」

「え…?」

息を呑んだその瞬間、最奥にまできていたソレが
急激に、ギリギリのところまで引き抜かれたかと思えば
再び強く突き上げられた

「あぁっ!」

急な衝撃に、咄嗟に思い切りしがみつく
理性など完全になくし
ひたすらに、荒々しく、自らの快楽を貪るように
突き上げ、貫き、激しく求める

「あ…っ!や…ひぁっ…あぁ…っ!!」

振り落とされそうな衝動に駆られ
必死にしがみついた

頭のてっぺんにまで、突き抜けていく電流のように
自らの衝動を突き動かしていくその人物に
全てを委ねた
ただ本能のままに、引かれ合うままに求め合う

重なっていく息遣い、鼓動
2つは1つに、混ざり合うように…

「あっ…あっ…ダメっ…!僕…もぉ…!」

「僕も…も…ぉ…!!」

限界と解放が迫る
ぴったりと重なった吐息が混ざり合い
同時に達した2人は、真っ白になり薄れる意識を手放した
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