ミンナナカヨシ
□僕+僕=僕
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「…ん?」
うっすらと目を開くと、真っ暗の部屋の中
「あれ…もう夜…?」
晒されたままの素肌に、外気の冷たさを知る
徐々に寝ぼけたような頭が冴えていくと
思わずガバッとベッドから起き上がり
キョロキョロと辺りを見渡す
「あ…僕一人だ…」
不思議なことに、脱ぎ散らしかされた衣服も
自分一人分だけがそこに残っている
まるで、先ほどまでのことが皆
夢の中の出来事だったかのように
なにやら少しだけ、胸を刺す喪失感
元の形に戻っただけなのに
正常な状態に戻った、ただそれだけなのに
まるで半身を失ったかのような
そんな喪失感
「夢…だったみたいだ…」
小さく呟き、ベッドから降りると
衣服の中に、自分のリボンタイの他に
もう一つリボンが落ちていることに気づく
「あ…これって…」
そう、それは、髪の長いアレンが
自らの髪を結わえていたリボン
(夢なんかじゃ…なかったんだ…)
そのリボンに、彼はそっと口付けた…
(END)
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