白王子と黒姫

□無人の浜辺
1ページ/2ページ

任務が以外にも早く片付き
明日の汽車までには余裕ができた

「…で?こんなとこに引っ張りだしてきてなんのつもりだ…?」

ユウは不機嫌そうにつぶやいた

「なんのつもりって…せっかく一緒の任務だったんですし
 こんな時くらいデートしてくれたっていいじゃないですか〜」

前を歩くアレンは、子供のように唇を尖らせた
季節外れの浜辺は、人気もなく、波のざわめきだけが聞こえてくる

「浜辺でデートしてるんですから、もうちょっと甘くなれません?」

「…本気で言ってんのか…?」

吐き捨てるように言われて、彼にそれを求めた自分に無理があったと
思わずアレンは自分の額に一指し指を当て、口元を引きつらせた

潮の香りが鼻をかすめていく
沈みかけの夕日が、こんなにも美しく2人を照らしているというのに
どうしてそうもそっけない態度しかとれないのだろうと
半ば呆れた様子でみつめた彼の横顔に
アレンは思わず目を見開いた
次へ

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ